田村祐子
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特別研究テーマ
>盛岡市住宅地の庭園樹木
近年、各地方で都市化が進み住宅地が広がりを見せている。それとともに、人々の身近な植物としての庭園樹木(庭木)も変化している。そこで、形成された年代の異なる住宅地において、庭木はどのように変化したのかを調査し、何によって決定づけられるのかを考察した。
調査対象は盛岡市上田地区(1550年頃、住宅地が形成された)、館向地区(1950年頃)、西松園地区(1975年頃)、北松園地区(1990年頃)の4地区、合計132軒であった。 方法は、各地区から無作為に抽出した33軒について、アンケート調査を実施した。それと平行して、調査可能な庭を選び、樹木の名前、本数、サイズなどを調査した。 結果を表1にまとめる。樹数については、地区が古ければ古いほど、在来種(ヤマモミジ、ナナカマドなど)や外来種であっても古くから栽培されてきた樹木(ウメ、ボタンなど)が多く、逆に地区が新しければ、外来種(ムラサキハシドイなど)や園芸種(イロハモミジ、コノテガシワなど)が多かった。いずれの地区においてもヒノキ科、バラ科、ツツジ科の樹木が多く植えられていたが、樹数や本数などに違いがみられた。さらに、本数はそれほど多くはないが、上田地区ではグミ類やヒメウコギが、北松園地区ではアメリカヤマボウシやセイヨウミザクラが特徴としてみられた。本数については、樹種と同様に庭が形成された年代と大きく関係していたが、庭の面積や形式についても影響がみられた。庭の面積が広いほど、本数は多くなる傾向が認められたが、北松園地区では、一軒あたりの樹木の本数が他の地区とくらべ少ないのは、芝生からなる庭をもつ住宅地が多いためであった。 このような結果になった原因としては、次のようなことが考えられる。
以上のように庭木は、人々と多くの関連性をもっており、同様に庭木を見ることによって、その地区の歴史や人々の生活状況などを、ある程度推察することができるものと考えられる。 表1.盛岡市内の4地区における庭木の特徴
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