人文社会科学部研究室探訪●Part10(vol.2)page2

教授 堀口 大樹001
教授 堀口 大樹002
教授 堀口 大樹003

Profile
HORIGUCHI Daiki
東京外国語大学外国語学部ロシア・東欧課程ロシア語科(2007年)、東京外国語大学地域研究科言語・文化専攻【修士】(2009年)、ラトビア大学人文学部研究生(2012年)、東京外国語大学総合国際学研究科言語・文化専攻【博士】(2013年)


先生がロシア語に興味を持ったきっかけについて教えてください


隣国であるのに情報が少ないロシアをより深く知りたいと思いました。ラトビア語への興味については、高校生のときに現地の子どもたちと文通をしたことがきっかけです。

 子どものころから異文化に関心があり、世界地図を開いて国名や国旗、首都などを覚えるのが好きでした。中学3年生のときに外国語に興味が芽生えはじめ、語学番組やラジオなどでさまざまな言語に触れる中で、次第にロシア語への関心が大きくなっていきました。ロシアは日本の隣国なのに情報があまり入ってこないので、謎めいていたところに惹かれていったんです。キリル文字もエキゾチックに感じ、読めたり書けたりできたらかっこいいなと。それからスポーツを見るのも好きなので、ロシアのスポーツ大国という部分に魅力を感じたというのもきっかけの一つです。
 私はロシア語だけでなく、バルト三国の言語の一つラトビア語も研究しておりまして、こちらは高校生のときに読んだガイドブックで興味を持ちました。たまたま手にとって開いたページで、日本語を学ぶラトビアの子どもたちが紹介されていて、日本からこんなに離れた国で日本語が勉強されているんだと非常に感動しました。その記事に住所が載っていたため、なぜラトビアの子どもが日本語を勉強しているのかを知りたくて手紙を書いたところ、しばらくしてすごく丁寧な日本語で返事が返ってきて、そのまま文通をすることになりました。このときの交流が、今のラトビア語研究につながっています。

現在先生が取り組まれている研究と、今後の展望をお聞きしたいです


2007年から2014年まで駐日ラトビア共和国大使館でラトビア語教室の教師をしていました。日本で同言語を専門としている人はほとんどいないので、研究を続けラトビアへの理解を深めていきます。

 ロシア語やラトビア語でも、文語で使われやすい言葉、口語で使われやすい言葉、若者の間で使われやすい言葉など、使用域が限定されるときがあります。動詞の接頭辞の意味と使用法分析のほかに、そうした文体的な特徴について、新聞や雑誌、メディアなどを資料に研究をしているところです。特にロシア語については、フィギュアスケート、シンクロなど芸術スポーツの実況者の言葉を研究したいなと。好きなテーマを掘り下げていきたいと考えています。
 ラトビア語に関しては、2013年に日本初のラトビア語教科書を出版したので、今度は日本人学習者向けのラトビア語辞書の編纂をしたいですね。ラトビア語はロシア語と系統が異なり、インド・ヨーロッパ語族のバルト語派なんですが、ロシア語に近いウクライナ語、ベラルーシ語、ポーランド語、ラトビア語と似ているリトアニア語など、ほかの言語と比較・対照することで、ラトビア語の特徴を示していきます。ラトビア語は今大学では教えていないのですが、これからも研究を続け日本とラトビアとの架け橋的な存在になっていきたいという思いです。

これから岩手大学でロシア語学を学びたいと考えている高校生の方にメッセージをどうぞ


ロシア語を学習することで、旧ソ連の国々やロシアに近い東ヨーロッパの国の文化まで幅広く興味の対象を広げていくことができます。

 ロシアはヨーロッパとアジアにまたがる広大な面積を持ち、文学大国、スポーツ大国、音楽大国、宇宙大国などと評価され、さまざまな分野で優れた功績を残してきた国です。国際社会においても、常に独特の存在感を持つ国でもあります。言葉を覚えることで、そうしたロシアの文化を深く知ることが可能ですし、ロシアは100を超える民族が暮らす多民族国家でもありますので、幅広い文化に触れることができる点も魅力的です。日本とロシアは隣国なのに、そのメリットがまだ十分生かされていません。そういう点から考えても、日本人にとって大きな可能性を秘めた言語だといえるのではないでしょうか。
 高校では外国語として英語を勉強するわけですが、ぜひ英語圏以外の文化にも興味を持ってほしいと思います。もともと興味があるのであれば、大学に入るのを待たずにロシアに関係する本を読んでください。例えばロシア語同時通訳者として活躍した米原万里さんのエッセイや小説がおすすめです。読書は非常に大事ですので、高校生のうちから興味の趣くままできるだけたくさんの本に触れましょう。



<学生のコメント>

○昔から他国の文化に興味があり、外国語科のある高校に通い英語とロシア語を学びました。今は高校のときよりも深くロシア語を勉強し充実した毎日を送っています。英語と違い、ロシア語は日本人にとってあまり馴染みのない言語ですが、マイナーだからこそ勉強する価値があると思います。ただ、興味だけで一つの言語を追求するのはすごく難しいことです。ときには、なぜ自分はロシア語を勉強しているのだろうと考えることもあるのですが、「ロシアの文化を知ることで日本の文化も理解したい」という目的を見失わないように心掛けています。
 演習では、ロシア語を専攻する学生の人数が少ないため、その分中身が濃くしっかりと力を身に付けることができます。堀口先生も学生に求める理想が高いので、予復習を徹底することが大切です。分からないところを放置せずその場で解決することで、ロシア語を使いこなせるようになりたいと思います。今私は2年生で、ロシア語を中心に授業をとっているのですが、副専攻として法学や経済学なども学びロシアと日本との社会・文化の違いなども考えていきたいです。

○私がロシア語を専門に選んだきっかけは、高校3年生のときに参加した岩手大学のオープンキャンパスです。たまたま時間が空いてロシア語のブースに行った際、その魅力について語っていただき、興味を惹かれたためこの言語を専攻することにしました。お話を聞くまでは、ロシアは未知の国で「怖い」「寒い」など漠然としたイメージしかなかったのですが、意外と親日家が多いことや、「イクラ」といったロシア語由来の日本語があることなどを知り、親しみが湧きました。今はロシア文学への興味が深まり、チェーホフに関する卒業論文を執筆中です。大学2年の後期で交換留学制度を利用し、半年間ロシアへ留学したのですが、その際にチェーホフが「かもめ」を書いて過ごしたといわれる場所を見学しました。その経験も論文制作に生かせるかなと思います。
 ロシア語に限らず外国語を学ぶ上で大切なことは、自主的に行動することです。演習でも、少人数のため誰かが沈黙してしまうと会話が途切れてしまいます。ロシア語で会話ができる貴重な時間を無駄にしないよう、分からない単語があったとしても知っている言葉を使いコミュニケーションを続けることで、成長につながると考えます。
 卒業後も、留学先や学内でできたロシア人の友達との交流を続け、4年間学んだことを生かしていきたいです。