人文社会科学部研究室探訪●Part10(vol.3)page2

教授 本村 健太01
教授 本村 健太02
教授 本村 健太03

Profile
MOTOMURA Kenta
筑波大学芸術学研究科芸術教育学【博士】(1996年)


先生の研究について教えてください


子どものころから図工・美術が好きで、よく自分で漫画や絵を描いていました。これからも好きなテーマを掘り下げ、研究を続けていければ。



大学院生のときに、『造形教育事典』と『デザイン教育ダイナミズム』のバウハウスに関する部分を執筆しました。バウハウスは私の原点ですね。

 私の主な研究テーマはバウハウスです。ドイツ語で「建築の家」を意味するこの言葉は、1919年から1933年までドイツに存在した造形芸術学校の名称として使われていました。独創的な造形教育により、新しい造形理論を展開し画期的な製品を提案するなど近代デザインの基礎を築いたのがバウハウスです。私はその歴史を調べるだけでなく、現代にバウハウスの考え方を取り入れ、芸術とテクノロジーの融合・統合を実践しその可能性を探っています。その一環として、バウハウスを今日の視点から考え展覧会を企画し、自分の作品を展示するイベントを開催しました。そうしたイベント開催と併せ、即興で映像を流し空間を演出するビジュアルジョッキー(VJ)の活動も行ってきました。盛岡市子ども科学館のドームで映像ショーを行ったり、志波城古代公園の壁に映像を映したりと、ビジュアルジョッキー(VJ)を研究課題として進めて行く中で、情報系を専門とする先生たちとのコラボもするようになり、インタラクティブ映像表現ということで情報系の学会へ論文を書いたりもしました。芸術と情報の融合という新しい可能性を追求していきたいです。
 最近では、地元サブカルアイドルのプロモーションビデオ制作にあたり、監督と映像編集を担当しました。市内の古い建物を背景に使うなど、歴史的な文化財と現代のテクノロジーのコラボというところを意識しています。
 そのほか、アニメーションディレクターの寺田和男さんを取材し、氏が手掛けた作品について考察するといったこともしました。アニメーションディレクターは、いかにシナリオを演出し感動させるかという企画力が問われます。寺田さんをはじめ、実際に現場で活躍されている著名人を大学に招き学生たちへ向けたワークショップを開くということもしています。

今後の展望についてはいかがでしょうか

 ビジュアルカルチャーという幅広い分野を扱う研究なので興味はどこまでも広がるのですが、原点となるのはやはり「総合芸術」と「アート&テクノロジー」です。プロモーションビデオ一つとっても、音楽や身体表現などさまざまな作品がミックスされています。そういった総合芸術的なものに関心を高く持っているので、その研究を通し地域貢献もしていければと考えています。
 最近の事例としては、明治から昭和初期にかけて盛岡近郊で聞こえていた当時の「物売り声」を再現したカセットテープとイラスト入りポスターの発見を機に、もりおか町家物語館で企画されたイベントでのアニメーション投影というものがあります。発見された地元商人のイラストを映像にして動かすというものです。原画は変えずにもう1枚をアレンジして加え、2コマのアニメーションで生き生きした動きになるよう意識しました。これからも学生を指導するとともに、自分自身の研究を地域のために生かしていきます。
 また基礎造形学についていえば、引き続き単純なプログラミングで複雑なものをつくり、表現の可能性を広げていきたいです。

これから岩手大学で視覚文化(ビジュアル・カルチャー)を学ぼうと思っている高校生の方にメッセージをお願いします


個人で制作するだけでなく、地域のためにチームで作品をつくりあげる経験は将来自分の財産になります。プロジェクトに携わることができるこの環境を生かしましょう。

 皆さん漫画が好きとかイラストが好きとか、さまざまな興味を持っていると思うのですが、ここで専門的に学び経験を積むことで、その趣味を将来自分の職業に結びつけることができます。指針となる自分の興味を大切に、自分ができることをしっかりと見極め、次へのステップを試行錯誤して見つけてください。将来のビジョンをイメージしながら学習していきましょう。
 当研究室で目指しているのは、企画力のある人材を育成することです。卒業生はデザイナー、ゲーム制作、テレビの映像編集などの仕事についていますが、そうした仕事に求められるのは、何かのソフトを使えるという技術力だけではなく、自分のアイデアでプロジェクトを立ち上げ、発信していく能力です。自分の興味ある分野を学び、地域・社会で活躍したいという方を応援していきたいと考えています。ぜひ当研究室でさまざまなプロジェクトに挑戦してみてください。



<学生のコメント>

○美術について広く関心があったため、所属する研究室を選択する際はさまざまなジャンルを取り扱う本村先生のところを選びました。視覚文化(ビジュアル・カルチャー)研究室は、幅広い領域を学びながら徐々に自分の専門分野を選べるという点で魅力的です。本村先生も、学生の意思を尊重してくれますし、作品の良いところを見つけてくれるのでモチベーションも上がり、長所を伸ばすことができます。この研究室はほかと違い最先端の技術を使う必要があるため、その新しい技術を使っていかに見せたい表現を生み出すか、自分で考えなければなりません。工夫を重ねよりよいものをつくり上げていきたいです。
 希望する進路の一つとしてゲームの制作会社があります。キャラクターやストーリー、世界観づくりに携わることができたら嬉しいですね。

○高校生のときからポスター制作等のビジュアルデザインをやってきたので、大学でも視覚に訴える表現がしたいと思いこの研究室を選びました。本村先生は、自分の関心があるジャンルの話をすると、その分野で活躍している人を紹介してくれて人脈を広げる手伝いをしてくれるなど、相談すれば多くの情報を教えてくれるのですが、その情報をもとに行動していくのは自分なので、受け身の姿勢では成長することができません。そのため、自発的に動いて自分がやりたいことを追求していきたいと思います。将来的に、グラフィックデザイナーや被服デザイナーなどの道に進めるよう取り組みます。

○アニメや漫画を趣味として楽しむだけでなく、ここで専門的に学び将来の仕事につなげていきたいと考えています。専門学校でなく大学で勉強することのメリットは、さまざまな学部の影響を受けられることです。例えば農学部の学生がその立場からデザインについて話してくれたりすると、「そういう視点があったのか」と制作のヒントになるような発見ができ面白いです。具体的な進路としては広告関係の企業を考えていて、クライアントのニーズに応える作品の制作ができるようになりたいと思っています。現在特に力を入れているのはイラストで、研究室ではキャラクター制作を進めているところなのですが、どの層に対してアピールしたいのかということを明確にし、つくり上げていきます。この経験を通し、実践的な力を身に付けていきたいです。

○私はもとからそこまで美術に関心があったわけではなく、両親のすすめもありなんとなく大学で美術系を選択したのですが、視覚文化(ビジュアル・カルチャー)研究室に入ってからは作品づくりの面白さを知りました。パソコンを使うなど苦手なことも多いのですが、本村先生に自分がつくったものを褒められると、もっと頑張ろうという意欲がわいてきます。私が最も興味があるのはイラスト系で、枠にとらわれない自由な発想を心掛け制作をしています。日常の中でも参考になるデザインは多くあるので、自分が好きな色合いなどを見つけ、その表現ができるようもっと勉強をしていきたいです。卒業後は販促方法を考える企画職か、お菓子等のパッケージデザインがしたいなと思っています。