人文社会科学部研究室探訪●Part2(vol.3)page1

Profile
SAITO SHOICHI
東京都立大学社会科学研究科・経済政策専攻1995年修了 修士(経済学) 1998年同博士課程退学 2007年博士(経済学)

■先生が経済学の先生になると決意された経緯から教えて下さい。特になぜ、マルクス経済学へと向かったのかですが。


大学4年まで『資本論』だけは全然読んだことが無かったんです。

 え〜と、まあ私は普通の大学生をやっていましてね、その大学には、マルクス経済学の講義は無かったんですね。マルクスのいくつかの本は、多少は読んだことがあったんですが、『資本論』だけは全然読んだことが無かったんです。

 (それはどうしてですか?)それはもう難しくて、あんなものは普通、放り出してしまうでしょうね・・・・とにかく難しいんですよ(笑い)。

で、4年生になったある時にですね、『資本論』を読む講座というものを文学部の日本史の先生が、私的な講座として開いて下さって読むことになったんです。その先生の教え方が独特で、重要な箇所を音読させた後に、意味を解説するという、割と地味な講座でした。最初は5人ぐらいの学生がいましたが、やがて一人減り、二人減りとなって、ついに二人だけになりました。私ともう一人の学生です。その方は日本を代表する大企業に勤めて今でも親交があります。 でまあ、それで第4章にさしかかった時ですが、読み終えたとたん、それまで経済学に抱いていた疑問が一気に解消されたんです。夏休み前のことでした。 (先生の目覚めの瞬間ですね)・・・・そうですね。 結局、大学時代から大学院時代まで、都合7年間を費やして『資本論』とつきあいました。(7年ですか、それはすごい)

■岩手大学での専門は経済理論ですが、『資本論』が専門ではないんですか?


研究室の書架 にはマルクスの肖像がさりげなく飾ってあります。

 岩手大学では、理論経済学を専門としていますが、一言で言えばそうだということで、中身は複雑です。もちろん『資本論』が専門の一部であることに間違いはありません。昔はマルクス経済学というと『資本論』の解説だけで良かった時代もあるんですが、最近はそれだけではつまらなくなってきたというところがあります。それは、マルクス・エンゲルスの新しい全集が出版されたり、隠された資料が続々と出てきたことで、「『資本論』形成史」の方に世の中の関心が向いてきた。その傾向は、1970年代から始まっていますね。

ですから、授業では、とにかくまずは『資本論』をかみくだいて説明することから始めます。現代の事象とからめて『資本論』を教えるわけですね。わかりやすく丁寧にと心がけながらですね。それはもう努力しているんですよ(笑い)。

■高校生が『資本論』を読む、親しむチャンスはあるんでしょうか?


高校生が読むならこれがいいと勧めていただいた宮川彰著『資本論 第2・3巻 を読む(下)』(発行:学習の友社)

 それは、手っ取り早いのは、わかりやすく解説した書物を読むのが一番ですね。最近は、『資本論』を解説する身近な書物がたくさん出ています。高校生や一般向けの本がありますからね。木暮太一著『マルクスる?』(発売:星雲社)なんて本もあります。