人文社会科学部研究室探訪●Part6(vol.1)page1

研究室探訪 vol.01
個人的側面と社会的側面から「人間行動」を分析 多角的な視点でその解明に迫る 教授 山口 浩
人間科学課程(行動科学コース担当)【社会科学】

Profile
FUJIMOTO Koji
一橋大学法学部(1997年)、一橋大学法学部法学研究科(2002年)、修士(法学)、博士(法学)


先生が考える法学・経済課程の魅力は何でしょうか

 他の先生たちもおっしゃっていますが、法学と経済の両方を一緒に学べるところが魅力のひとつだと思います。大学によっては法学部、経済学部と分かれていて、それぞれ別々に学ぶこともできる学問です。しかしその2つをミックスして学ぶことによって、互いの考え方を取り入れることができますよね。経済学を中心に学ぶ中で法学の考え方を、法学を中心に学ぶ中で経済学の考え方を取り入れるというふうに。世の中には、色々な物の考え方があるわけで、その中でも代表的な法学と経済学という考え方を両方とも使って物事を考えることができるようになるというのが理想であり、また、学生たちにはそれを目指してほしいと思っています。逆に言うと、それを目指せるというのが法学経済課程の魅力かなと。

先生が法学を学ぼうと思われたきっかけは何でしょうか


学生に望むのは、とにかくたくさんのことに興味関心を持ち、それを読み解いて行くこと

 検察官や弁護士、裁判官などの法の専門家の中でも検察官になりたいと思っていて、法学部に入り法学を学び始めたというのがもともとのきっかけですね。では、そもそもなぜ検察官になりたいと思ったかというと、それは単純な動機で、「正義を守るような役割を果たしたい」というのが一番純粋なところでした。そして法学を学ぶうちに、その魅力を伝えたいと思い大学教員の道へと進みました。

法学コースの特徴を教えてください


学生との距離を縮めるため、日常生活のレベルから一緒に過ごす時間を長く取るようにしています

 まず法学・経済課程がそもそもそうなんですが、学生数が全部で80名ほどとあまり多くないんです。その中でさらに法学コースと経済コースに分かれますので、教員ひとりあたりが受け持つ学生数が少なく、かなり近い距離感で教育をすることができます。それに、学生たちが学ぶ内容は大学の中だけで完結するようなことにしたくないので、一緒に盛岡地方裁判所に行き裁判を傍聴したり、地方検察庁に見学に行って色々な話を聞いてきたりもします。社会の動きや、実際に行われていることにできるだけ触れてもらいたいですし、触れる機会を与えたいと思っていますので。授業の中でも「この間こういう事件があったよね」と話題に出します。それは、教科書の中だけでなく世の中で実際に起きている事にまで視野を広げてもらいたいから。この学問は、世の中の動きから切っても切り離せないものですからね。

裁判所などを訪れる経験によって学生たちが得る物も多そうですね

 1年生を連れて行くことが多いのですが、1年生だと、以前にそのようなところに行った経験があったとしても、大概の学生にとっては遠い存在の場所。普段は入ることのできない法廷の中に特別に入らせてもらったりすると、それがかなり印象に残るみたいですね。特に実際に裁判をしているところを傍聴した時は、それまで頭の中だけで抽象的に考えていたような裁判ではなくて、実際に目の前で、ある人が何かの罪を犯したという容疑を受け、色々なことを聴かれ、生い立ちからなにから全てを話すというのを聴く。そして、考える。そうすると、思うところというのはどの学生にもあるんですね。普段おとなしくて何も言わないような学生たちでもそういうことを目の当たりにすると、感じることは何かしらあり、それに対する反応が出てくるというのがおもしろいところです。そうした体験を生かして大学での学びにつなげてほしいというのがあります。

先生が研究されているテーマと内容について教えてください


研究テーマは刑事訴訟法。右は藤本先生の著書「ドイツ刑事法の啓蒙主義的改革とPoena Extraordinaria」

 法学の中でも「刑事訴訟法」という刑事裁判のやり方や、警察・検察の捜査のやり方などを全部まとめて規定している法律が専門です。それに関して言えば、メジャーな話ですけど裁判員裁判に関するさまざまなことを研究しています。特に裁判員裁判は、今は“県単位”で選ばれた人が裁判員として活動するということになっているのですが、その“県単位”というところに何か特色が出るのではないかということを考えています。例えば、2009年5月に裁判員裁判が始まり3年と少しが経過しましたが、岩手県ではまだ10件ほどしか裁判員裁判が行われていないんです。しかし、隣の青森県では約50件ほど行われている。そういうところに何か違いがあるのかなと考えています。両県を比べても人口にそんなに差があるわけでもないし、環境も青森の方が犯罪者が多いとかそういうわけでもないはずなのに、なぜそのような差が出るのかというところに興味があり、そういうところに関して研究しています。ただ、青森の方とも話したりするのですが、色々な説はあるものの、何が正しいというのはまだちょっとわかっていませんね。