人文社会科学部研究室探訪●Part6(vol.4)page1

研究室探訪 vol.04
研究室探訪 vol.04
研究室探訪 vol.04

Profile
YAN Inshiru
東京学芸大学大学院地域研究コース修了(2001年、修士(学術))、立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(2004年、博士(社会学))


国際文化課程で学ぶ魅力を教えてください


学生たちには、視野を広げ、物事を長いスパンで考えるようにしてほしい

 国際文化課程は、アジア文化コースと欧米言語文化コース、そして文化システムコースの3つに分けられます。アジア文化コースでは中国と日本の、また欧米言語文化コースではドイツ・フランス・ロシアなどの欧米諸国について、その歴史や文化、それに英語を含めた言語を学ぶことができます。ロシアの言語と文化を学べるというのは東北の大学では珍しいと思います。これら3つのコースのうち、私が所属しているのは文化システムコースというところなのですが、5名の先生がおり、それぞれの専門に分かれ専門に沿った形で授業をしています。それぞれが違う専門のところを教えているので、学生たちが現代社会におけるさまざまなことに対して興味を持ち、幅広く考えていくことができるのかなと思います。

文化システムコースではどのようなことを勉強するのでしょうか


授業で使用している書籍。「プロセスが見えるメディア分析入門」(左)と「想像の共同体」(右)

 私が担当しているのは社会文化論で、授業では主に映像メディアを取り上げています。学生たちにアメリカや中国・韓国などの海外映画やドラマを見てもらうのですが、その中に“外国人がイメージする日本人”が出てくることがあります。それを見て、日本人が海外でどのようなイメージを持たれているか、また、反対に日本映画の中に登場する外国人を見ることで、日本人が抱く外国人のイメージを知ることができます。最近では韓国のポピュラーカルチャーというものが日本で流行っていますが、その歴史をたどってみると2000年以降ではなく、それ以前から日本と韓国の間でポピュラーカルチャーを媒介とした交流が盛んだったことがわかります。そういった歴史的な背景も含め、さまざまな文化を学んでいます。

学生にはどのような指導を心がけていらっしゃいますか


大学の授業では、学生たちが自分で考え、話すことが一番大切なこと

 高校までの教育の中で、学生たちは芸能などの伝統文化や東北文化など「目に見える形の文化」はけっこう習ってきたと思いますが、私は人々の“考え方”や“価値観”といった「目に見えないもの」も文化だと考えています。それに、それら文化はいつでも変えることが可能なものだと思うのです。だから文化を学ぶ上で学生たちに考えてほしいのは、そもそも文化というのは何なのか、また、それを変えて行くためにはどうすればいいか、あるいは変えない場合にはなぜそれを変えなくてもいいのかなど、そういうことに注目し考えてほしいと思います。ただ、私が「考えてください」と投げかけると学生たちは嫌がるんですけどね(笑)。一方的に教えるというよりは、互いに考えさせられるような形で授業をしていくことを心がけています。そういうことにまだ慣れていない学生たちは戸惑ってしまうかも知れないですが…。

「目に見えない文化」というと、どのようなものがあるのでしょうか

 例えば、わたしは2011年の3月まで京都府に住んでいましたが、京都では電車のドアに開閉ボタンは付いていません。東北地方では電車の乗降の際にドアの開閉ボタンを押さないと扉が開かないのですが、東北の学生たちは、それを当たり前のことと考えています。冬が厳しい東北地方は、乗り降りの際に寒気が入らないようにドアを手動で開け閉めする仕組みになっているのですが、そのようなシステムは東北地方以外の場所ではありません。しかし、東北に住む人の中にはそれを日本の電車の特徴と思っている方もいらっしゃいます。また、以前に授業の中で青森県出身の学生が「青森では赤飯をこのような場面で食べます」という話をしたら、岩手県出身の学生が「岩手ではそういう文化はないよ」と話し、皆で話し合ったりしたこともありました。このように、日常生活において日本全国で当たり前の文化だと思っていることが、実は当たり前ではなくその土地だからこそ生まれた“地域の文化”であることも数多くあります。そのような習慣的なことは、あまり日常生活の中で考えるきっかけがないと思いますので、学生たちにはそれを考え、話し合うきっかけを提供したいと考えています。

世界の文化だけではなく、身近なところにある文化も含め勉強するのですね

 私が世界の文化を全て知っているというわけではないですし、日本の文化でもわからない部分もあります。学生たちは皆、自分が日本人だと思っていますが「ではなぜ自分が日本人だと思うの?」と問いかけると、大抵の学生は「日本で生まれ、両親が日本人だから」と答えます。しかし、だからと言って日本のことを全部知っているわけではないですし、できるだけ身近なところで感じられる文化の中から授業で取り上げる話題を見つけていきたいと思っています。