人文社会科学部研究室探訪●Part7(vol.1)page1

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准教授 中島 清隆003

Profile
NAKASHIMA Kiyotaka
横浜市立大学商学部経済学科(1998年)、広島大学法学部法学科(2001年)、広島市立大学大学院国際学研究科国際学専攻【修士(国際学)】(2003年)、同【博士(学術)】(2007年)


環境科学課程に着任されて間もないそうですが、その印象は


環境科学課程は学生も教職員も多様性に富んでおり、環境に関わる専門領域を文系・理系の枠にとらわれず学習することができます

 環境科学課程は入学定員が1学年30名、教職員13名と、他課程と比べても規模の小さい課程ですが、学生も教職員も多様性に富んでいるなと感じています。人文社会科学部は文系と理系の科目が配置された文理融合型のカリキュラム構成となっており、特に環境科学課程にはこの文理融合型の特色が色濃く現れているように思います。というのも、環境問題の内容は多彩であり、文系・理系など特定の分野からのアプローチだけでは説明することができないためと考えられます。学生に関しては、講義で見る限りおとなしくて真面目な印象を受けますが、一人一人と向き合ってみなければ分からない部分も多いと思いますので、あまりひとくくりでは捉えないようにしています。今後、講義や研究室活動だけでなく、課外活動や行事などを通じて学生と関わっていく中で、課程の印象や学生の印象は変わっていくのではないかなと思います。

環境科学課程で学ぶ魅力、面白さは何でしょう

 先ほど申し上げたように、環境科学課程は文理融合型の特色が色濃く現れているので、自分の興味・関心に応じて幅広く学ぶことができる点だと思います。実際に、高校生までは文系に属していたけれど大学では物理や数学をテーマに研究に取り組んでいる学生もいます。環境科学課程の講義やカリキュラムの中で面白さを感じられるか、見つけ出せるかが一つのポイントとなるでしょう。環境科学課程では、学生の興味・関心を十分に生かせるよう選択の幅が広く設定されています。環境科学・環境問題について幅広く学びながら、一つでも二つでも深く学んでみたいものを見つけ出してもらえたらと望んでいます。

先生の専門分野について教えてください

 来年度(2014年度)から研究室で環境政策論を担当します。環境政策とは自然保護や環境問題の対処・解決に関する方針を研究する学問で、数多くある環境問題をどのように解決していくかについて研究する分野と理解することができます。環境問題は、水俣病やイタイイタイ病などの公害、ゴミや廃棄物の処理など私たちの生活に身近な問題、さらに地球温暖化や気候変動など将来の人々に大きな影響を与えかねない地球規模の問題まで実にさまざまです。
 環境政策にはいくつかの段階・プロセスがあります。環境問題を問題として捉えるところから始まり、問題解決のための方針について策定、実施、評価、見直しを行っていく。こうしたプロセスを繰り返し、環境問題の解決を目指していきます。
 また環境政策には、国際機関、中央政府や地方自治体、企業・産業界、NGO・NPO、大学といったさまざまなフィールドに関わる人物や組織が登場します。これを行為主体(アクター)と呼びます。それぞれ立場や利益、考えがあるためにお互いの関係が錯綜していく見方ができます。このような複数の対象が複雑に絡み合う環境問題の解決方針を研究するには、社会科学や人文科学・自然科学の個別専門分野からのアプローチだけでなく、法律・経済・政治・哲学・倫理学・物理・化学・生物・数学など複数の学問分野からのアプローチを結びつけたり組み合わせたりする学際的、総合的な学問方法が必要になります。

どのような経緯から環境科学・環境政策論の分野に進まれたのですか


機会に恵まれ、博士論文をもとに書籍を執筆させていただきました。これで学生時代の研究成果をまとめることができたかなと嬉しく思っています

 大学2年生、21歳のとき、アメリカの環境問題研究所であるワールドウォッチ研究所から出版された書籍『エネルギー大潮流—石油文明が終わり、新しい社会が出現する』(1995年)の日本語翻訳者がある講義で外部講師として講演されました。エネルギーの枯渇が重要な問題というお話は今でも強く印象に残っています。これが環境科学・環境問題に興味を抱くようになった一つのきっかけかなと思います。
 大学4年生、23歳のときに京都で地球温暖化防止の国際会議が開かれ、それを卒業論文で取り上げてみようと考えました。もともと、地球温暖化やエネルギー問題は自然科学や技術だけの問題ではなく、政治や法律、経済などの社会科学や社会構造の変革とも深く密接する問題なのではないかと考えていました。また、利害関係が複雑に絡み合うことで問題の解決がうまくいかなかったり難しくなったりすることに興味を持っていたため、地球温暖化問題の国際協調というテーマで卒業論文を作成しました。
 大学卒業後は編入学した別の大学で国際政治学を学び、大学院では地球温暖化・気候変動問題の国際交渉に始まり、同問題に関する国際協力、日本政府や地方自治体の環境政策にまで対象を広げて研究を進め、現在に至っています。