人文社会科学部研究室探訪●Part9(vol.3)page1

准教授 深澤 泰弘001
准教授 深澤 泰弘002
准教授 深澤 泰弘003

Profile
FUKAZAWA Yasuhiro
國學院大學法学部法律学科(2001年)、東北大学法学研究科総合法制専攻【修士】(2003年)、同博士課程単位取得退学(2008年)


今後学部改組がありますが、商法はどういった流れで学ぶことができるのでしょうか


商法は特に経済学との結びつきが強い学問です。法学をベースに経済学にも興味・関心が持てます。

 改組により現在の法学・経済課程法学コースはなくなりますので、今後岩手大学で法律の勉強をしたい方は、地域政策課程に所属するのが良いと思います。地域政策課程には5つのプログラムが用意されおり、その中から希望の進路を見据えて選択していく形になります。どのプログラムにおいても、私の担当する商法の講義を受講することはできますが、特に商法の勉強を深く学びたいという方には「企業法務プログラム」を選択することをお勧めします。民法や商法といった法学の分野だけでなく、経営学や会計学などの経済学の分野なども学べて、企業の法や経営に関する幅広い知識を身に付けることができます。選択したプログラムは途中で変更することも可能なので、例えば、はじめに経済学中心のプログラムを選択したとしても、途中から法学中心のプログラムに変更することもできます。

先生が担当されている商法について、その内容や魅力を教えてください


社会に影響を与えやすく、逆に社会からの影響も受けやすいため、法と実社会との相互作用が強いのも魅力の一つ。

 商法は六法の1つであり、我が国には明治32年に制定された商法典が存在しますが、学問・研究分野における商法とはこの商法典(形式的意義の商法)のみを指すのではなく、会社法や保険法といった企業に関係する経済主体の私的利益の調整を目的とする法規整の総体(実質的意義の商法)を指します。
 商法を学ぶ上で一番の魅力は、やはり実社会と密接なかかわりがあるということです。もちろん、他の法律にもそのような面はあるのですが、特に会社法の場合など、社会の経済実態に応じて法が運用されたり改正されたりする傾向が強くあります。また、企業の経済活動の活性化などを目的に法律を改正することもあります。このように法と実社会との相互作用が非常に強い分野です。他の法律ですとそれほど改正がなされないものもありますし、改正されたとしても実際に社会にどのような影響を与えたのかを検証するのは、時間もかかるし容易ではありません。それに比べると、商法では改正された場合に、社会に及ぼす影響が数値や現象に現れやすいため、「このような法律を制定(改正)したら、社会(経済)がどのように変わった」というのがわかりやすいですし、それが社会(経済)にとって良かったのか悪かったのかを比較的容易に検証することができるという点が面白いと思います。
 それから、商法は他の法律よりも、経済学や統計学、会計学などといった他の学問分野とのつながりが密接です。そのため、商法を学ぶことで経済学等にも興味・関心を持つこともできますし、経済学等の知識を身に付ければ商法についてより深く理解することが可能になり、さらに商法を勉強することが楽しくなるといった点も魅力の一つだと思います。

講義で心掛けていることはありますか


商法に関係するニュース等に普段から興味・関心を持ってほしい。

 商法、特に会社法は法改正も盛んで、量も多く非常にテクニカルな面もあって、苦手意識を持っている学生も少なくありません。実際に株式会社に勤めたこともなければ、株を買ったこともないため、イメージがわきにくいといわれたりもします。そこで、講義ではできる限り具体的な事例や最近のニュース等を題材にして、実際にどのような法律問題が起きていて、それに対し法がどのような形で適用されているかを丁寧に説明するよう心掛けています。
 憲法や刑法に関する問題などについては学生の関心も高いため、普段からニュースや新聞などで見たり聞いたりする機会も多く、自分から調べたり考えたりすることもあるのではないかと思います。それに比べると、商法は学生たちにとって身近な法律ではないことから、商法に関連する問題についてあまり興味・関心がなく、印象に残らないのではないかと思います。しかし、実際にニュースや新聞などを見てみると、商法に関連する問題は結構多くありますし、大変興味深く、我々の生活に関係してくる事柄もあります。身近な問題であるとわかれば興味・関心も高まるのではないかと思いますので、講義で扱った内容などを少し意識してニュースや新聞を見てみようと呼びかけたりもしています。

この学習を通し、将来どういう場面で生かしていけますか


社会生活を送る上で、株や保険といった金融商品に関する法の知識を持っていることは役に立ちます。

 多くの方は将来会社(特に株式会社)で働くことになると思います。そのような会社において、法務関係の部署などに配属されれば、会社法の知識を活用する場面がかなり多くあると思います。また、いずれ取締役や監査役など役員になったときにも、会社法の知識がなければ責任を持って会社の経営などはできません。さらに、一念発起して起業する場合などにも、会社法の知識が必要になってきます。以上のような場合は、特に大学で学んだ会社法の知識が生かせる場面だと思います。また、日常業務においてあまり法律を意識することのない職業についている方や、民間企業の会社員ではなく公務員の方であっても、例えば、多くの方は株を買って株主になったり、保険会社と保険契約を結んだりすることがあると思います。その際に株主や保険契約者にはどのような権利や義務があるのかなどの基本的な知識は、社会生活を営む上で非常に重要なものであるといえます。さらに、これは他の法律にもいえることですが、商法など具体的な法律の知識そのものを生かす場面は少なくても、法を学ぶことで得た法的思考方法などは、あらゆる場面において非常に役立つものであると思っています。これが商法を学ぶこと、法を学ぶことの意義だと思います。