人文社会科学部研究室探訪●Part9(vol.3)page2

准教授 深澤 泰弘001
准教授 深澤 泰弘002
准教授 深澤 泰弘003

Profile
FUKAZAWA Yasuhiro
國學院大學法学部法律学科(2001年)、東北大学法学研究科総合法制専攻【修士】(2003年)、同博士課程単位取得退学(2008年)


先生の研究についてお伺いしたいのですが


関係当事者の利害調整、紛争の防止・解決のために研究していきたい。

 私は商法の中でも、保険に関する法である「保険法」を専門に研究しております。保険契約では、火災や死亡など偶然の出来事が保険金の支払事由となりますから、保険契約者の中には保険料を支払うだけで一切保険金を受取らなかったという人もいれば、わずかな保険料を支払っただけで多額の保険金を得たという人もいます。このような特徴から、保険契約では、わざと保険事故を発生させたのに、それが偶然発生したかのように装い保険金を請求しようとする、保険金詐欺や保険金殺人といったモラル・ハザードの問題がつきものです。このような問題が社会において蔓延すると、保険に対する信頼は非常に低いものとなり、本来であればリスク・ヘッジの有効な手段であるはずの保険という制度を誰も利用しなくなってしまいます。それは社会にとって望ましくないことなので、私は、こうしたモラル・ハザードの問題の発生を防ぐためにはどのようなルールが望ましいのかといった研究をしております。
 また、契約は双方が納得した上で結ぶ必要があるのですが、保険契約の内容は非常に複雑で多岐にわたるものですから、一般の保険契約者が自力で契約内容を理解し、契約を結ぶというのは非常に難しいものです。そこで、保険契約では古くから保険会社と保険契約者との間に入り、保険の販売・勧誘において重要な役割を果たす保険仲介者というものが存在します。この保険仲介者が保険契約者のニーズを正しく把握し、必要な情報を適量伝えて保険の販売・勧誘をしてくれれば、保険契約者は納得して安心して保険契約を結ぶことができます。しかし、逆に保険仲介者の説明が分かりにくかったり、メリットばかりを強調してデメリットを伝えなかったりすると、保険契約者としては契約内容を十分に理解したり納得したりしないまま保険契約を結ぶことになり、いざというときに保険金が支払われなかったりすると紛争に発展することになります。そこで、このような紛争が生じないためには、保険の販売・勧誘においてどのような法ルールが望ましいのか、また、仮に紛争が生じてしまった場合に、どのように解決するのが望ましいのかといった点も研究のテーマとしております。
 保険契約者や保険会社といった保険契約に関係する者の望ましい利害調整を図り、紛争の未然防止や妥当な解決方法の構築のために、私の研究が少しでも役に立てばと思う気持ちで日々研究に取り組んでおります。

これから岩手大学で商法を学びたいと思っている高校生の方に、メッセージをお願いします


法律も経済も両方を学べるのが商法。高校で勉強した数学の知識なども活用し、楽しく学習しましょう。

 高校生のうちから商法を学びたいと思っている方がどれくらいいるのかわかりませんが(笑)、商法は前述しました通り、その魅力の一つとして、法学分野でありながら経済学と密接に関係するという点が挙げられます。高校生の(特に岩手県内の)方から、将来は生まれ育った地域の経済活性化のために一役買いたいと思っているというお話を聞く機会がよくあります。そのような希望を持っている方には、大学で経済学の知識だけでなく、法学の知識や考え方も身に付けることをお勧めします。きっと将来の夢の実現に大いに役立つと思うからです。そういった意味では、大学に進学したら、法学の勉強を中心に、無理なく経済学にも興味・関心が持てる商法の勉強を一生懸命やってみるのも一つの選択肢ではないかなと思います。



<学生のコメント>

○私はどちらかというと経済の方に興味があったのですが、公務員を目指していたということもあり、法学を選択しました。法学では、普段使っている意味とは別の意味になる言葉があるため、その使い方に気を付ける必要があります。また、ロジカルに文章を組み立て他者に説明しなければならないため、初めは戸惑うことも多い科目ですが、徐々に分かってくるとニュースなどを深く読み解くことができ楽しくなります。
 ゼミで商法を選んだ一番の決め手は、深澤先生の人柄でした。先生は勉強だけでなく、提出物や進路の相談など親身になって話を聞いてくださる方だと思います。私は特にテーマを絞ったわけではないのですが、学習の中で特に印象に残っているのは登記についてです。実態と違う登記をした場合に起こる問題について扱ったのですが、私にとってあまり身近ではない内容にも触れることができ面白いと思いました。
来年から公務員として働くことが決まりましたので、商法だけでなく4年間学んできたほかの法律科目の知識や、文章を論理的に組み立てる力などを生かし仕事をしていきたいです。

○授業は先生の話を聞くだけなので受動的であるといえますが、ゼミは毎回1人が発表しそれを何人かが聞き質問をしていく形ですので、能動的であるといえます。受動的な授業の中でも、積極的な姿勢で取り組めたのが商法だったため、迷わず深澤先生のゼミを選択しました。商法は社会と深い関係があり、理解しやすいため非常に面白いですし、隅々まで丁寧に説明してくださる先生の教え方も好きです。
 法律の勉強は、用語等の暗記だけでは不十分です。筋道を立て説得力のある主張をすることが大切で、そのためには基本的な知識に加え、判例や学説、条文などの資料収集も重要になってきます。一つでも欠けていたらそこを突かれてしまい、自分の主張を貫くことができません。総合的に力を付けていく必要がありますし、議論においては気になるところがあれば徹底的に追求する姿勢が大切です。
卒業後は、大学の職員として働くことが決まっておりますので、今後も引き続きそうした力を磨き、仕事にも役立てていきたいと思っています。