高校生の皆さんのための

フランス語入門

第2回

~をください


 みなさん、あいさつと自己紹介の表現は覚えましたか?[r]の発音は出来るようになりましたか?今回は友だちと仲良くなってカフェ(喫茶店)に行ったと想定してそこでの注文の表現を覚えます。

     Un café et une crêpe, s'il vous plaît. [ア カフェ エ ユヌ クれ-プ スィルヴプレ]「コーヒーとクレープをお願いします」

     カフェでテーブルにつくと、garçon [ギャるソ](ボーイさん)が注文を取りに来ます。いそがしくて気づいてもらえない時は、Monsieur! [ムッスュー!]、あるいは英語の please にあたるS'il vous plaît! [スィルヴプレ!]を使って呼んでみましょう。注文する時は、注文したい品物の後に s'il vous plaît を付けます。コーヒーは[カフェ]、クレープは[クれ-プ]とちょっとだけ伸ばします。et は前回、Et toi? という表現で出て来ましたね。英語のandにあたる接続詞です。発音は[エ]です。t の文字は読みません。


男性名詞と女性名詞


     前に付いているun [ア]とune [ユヌ]はともに数詞で「1つの」です。なぜ形が違うのでしょう?そう、前回やったように、フランス語には男性名詞と女性名詞があるんでしたね。unは男性名詞に付ける形、uneは女性名詞に付ける形です。つまり、café は男性名詞、crêpe は女性名詞です。このunune は不定冠詞(英語のa)としても使われます


     他の品物もいくつか列挙しておきます。一度に全部覚えようとしないで、自分の好きなものから覚えてください。

    un café au lait [ア カフェオレ]「ミルクコーヒー」、un thé au lait [ア テオレ]「ミルクティー」、un thé au citron [ア テ オ スィトろン]「レモンティー」、un chocolat [ア ショコラ]「ココア」、un coca [ア コカ]「コカコーラ」、un sandwich [アドウィッチュ]「サンドイッチ」、un gâteau au chocolat [ア ガトー オ ショコラ]「チョコレートケーキ」、une tarte [ユヌ タるトゥ]「タルト」、un éclair [アネクレーる]「エクレア」


     フランスでコーヒー (café) を注文すると、ふつうの日本的なコーヒーではなくエスプレッソが出て来ます。かなり濃くて強いコーヒーですので、苦手な人は café au lait を注文した方がいいかも知れません。紅茶 (thé) は[テ]と発音します(hのつづりはないものと考えてください)。[ティー]とならないようにも気を付けてください。lait [レ]はミルクです。chocolat は「チョコレート」という意味と「ココア」という意味があります。「コカコーラ」は日本ではコーラと略しますが、フランスではcoca [コカ]です。sandwich は、日本式の食パンのサンドイッチではなく、バゲットに切り込みを入れてチーズやハムをはさんだものです。おいしいものは、パンの表面がカリッとして中がとてもやわらかいサンドイッチですが、お店によっては、パンがとても固いこともあります。gâteau [ガトー]はケーキです。Garçonが品物を持ってきたら、Merci. [メるスィー]「ありがとう」と言いましょう。


発音


     ここでちょっと発音について見てみましょう。「ミルク」の lait は[レ]と読みます。そして前回やった j'ai (I have)は[ジェ]と読みます。共通点は何でしょう?そう、ai というつづりと[エ]という発音ですね。フランス語ではai というつづりは[エ]と読むという規則があります。英語と違ってフランス語は、つづりとその読み方に高い規則性があります。この規則を一度覚えてしまえばほとんどの単語は読むことができます(若干の例外はあります)。さて、この ai というつづり、japonais - japonaise にも français - française にも出て来ましたね。

     次は、café au laitau が[オ]と読むという規則です。つづりにつられて[アゥ]とならないように、はっきり[オ]と発音しましょう。さらに gâteaueau も[オ]と読みます。

     最後に、エクレアですが、[ア エクレーる]ではなく[ア クレーる]と発音します。つまり、un-n を次の é- とつないで発音するわけですね。フランス語ではこのように単語と単語をつないで発音するということがよくあります。これを「リエゾ」と言いますが、難しいのでまたあとで説明します。


     2つ注文する場合は、Deux cafés [ドゥーカフェ], s'il vous plaît.「コーヒーを2つお願いします」のようになります。deux は「2つの」という数詞です(男女の区別はありません)。また、cafés の最後の複数の -s は発音しません。

     さて、男性名詞と女性名詞が出て来ました。これから出て来る名詞は男性名詞か女性名詞かひとつひとつ覚えていかなければなりません。そのために、名詞は冠詞を付けた形で覚えることをおすすめします。つまり、「コーヒーは café」と覚えるのではなく、「コーヒーは un café」といったように。



数詞


     さて、次ぎは時間表現を勉強します。そのために、数詞の1から11と20を学習しましょう。

    1: un (une) 2: deux [ドゥー] 3: trois [トろワ] 4: quatre [キャトる] 5: cinq [サク] 6: six [スィス] 7: sept [セットゥ] 8: huit [ユィットゥ] 9: neuf [ヌフ] 10: dix [ディス] 11: onze [オーズ] 20: vingt [ヴァン]

     deux [ドゥー]の-x、trois [トろワ]の-s、sept [セットゥ]の-p-、vingt [ヴァン]の-gt は発音しません。1~11と20、何度も発音して口で覚えてしまいましょう。


今何時ですか-~時です


    Quelle heure est-il? [ケルー れティル]「何時ですか」 - Il est une heure. [イレ ユヌーる]「1時です」

     quelle [ケル]は「どんな」という意味の疑問形容詞です。qu- は[k]という発音なので[ケル]となります。[クェル]などとならないように注意してください。heure [ウーる]は「時間」という意味の名詞です。フランス語では h は発音しません。その後の母音は、bonjour の時の口の開きを狭くした強い[ウ]ではなく、[ウ]と[ア]の中間のような音です。カタカナ表記では[ウ]または[ー]としか書けませんが、発音に注意してください。ou というつづりは口の開きの狭い強い[ウ]、eu というつづりは[ウ]と[ア]の中間音と覚えましょう。そして est-il は、il [イル](3人称単数代名詞)と est [エ] (be動詞の3人称単数の活用形)が倒置されたものです。主語と動詞を倒置することによって、疑問の意味になります。ここで使われている il は具体的に何かを指すものではなく、英語の形式主語にあたるもので、フランス語では非人称主語と呼ばれます。


     答えはやはりこの il est [イレ]を使って、その後に時刻の表現を置きます。heure は女性名詞なので、「1時」の場合、une heure となります。発音は[ユヌ・ウーる]ではなく、[ユヌーる]と続けて発音します。これを「アンシェヌマン(鎖のようにつなぐこと)」と言います。質問の quelle heure を[ケル・ウーる]でなく[ケルーる]、主語と動詞の il est を[イル・エ]でなく[イレ]と読むのもこの現象です。


     2時以降の表現を挙げておきます。

    2時: deux heures [ドゥーズーる] 3時: trois heures [トろワズーる] 4時: quatre heures [キャトるーる] 5時: cinq heures [サクーる] 6時: six heures [スィズーる] 7時: sept heures [セットゥーる] 8時: huit heures [ユイットゥーる] 9時: neuf heures [ヌヴーる] 10時: dix heures [ディズーる] 11時: onze heures [オーズーる] 正午: midi [ミディ] 夜中の12時: minuit [ミニュイ]

     2時以降は複数ということで heure の後に -s が付きますがこの s は読みません。ところで、さきほど見た数詞の読み方とちょっと発音が違っていますね。数詞は後ろに母音で始まる単語が来ると語尾の発音が若干変化します。リエゾンとかアンシェヌマンの影響です。ここでは細かい説明は省略して、発音をそのまま覚えてしまいましょう(日本語だって、1本[イッン] 2本[ニン] 3本[サンン]のように変化しますがそのまま覚えましたよね)。そして、12時は特別な言い方になります。


     分の表現はそのまま数詞を付けます。例えば、「2時5分」は Il est deux heures cinq. [ドゥーズーる サンク]となります。「~分前」は moins [モワン]「マイナス」という単語を使って、Il est deux heures moins cinq. [ドゥーズーる モワン サンク]「1時55分」のようになります。


     15分、30分、45分は特別な言い方になります。

    Il est trois heures et quart. [エ カーる]「3時15分」

    Il est neuf heures et demie. [エ ドゥミ]「9時半」

    Il est midi moins le quart. [モワ ル カーる]「12時15分前」

    のようになります。quart は「1/4」、demie は「1/2」の意味です。


     では「5時20分」は何と言うでしょう?そう、

    Il est cinq heures vingt. [イレ サクーるヴァン]

    ですね。いろいろな時刻を表現してみましょう。