岩手大学 人文社会科学部 人間文化課程

ヨーロッパ語圏文化プログラム フランス言語文化専攻

ボルドー留学体験記

周 巧盈

 私は2018年9月から12月までボルドー・モンテーニュ大学DEFLEに留学しました。こちらは外国人留学生向けの語学学校なのですが、まず驚いたのは他大学から留学してきた日本人の多さです。しかし私はせっかくフランスに学びにきているので、日常生活では日本人とは行動しないよう心掛けていました。私の場合は完全クラス制で、同じクラスメートと同じ授業を受けていました。そのため、クラスメートとは比較的交流しやすい環境にあったと思います。授業内容はロールプレイング、長文読解、リスニング演習、細かい発音練習などが中心でした。どの授業も個人でやるよりも3〜4人でペアを組んで、みんなで一緒に考えながら取り組むグループワークを含みました。しばしば問題演習で先生に当てられることがありますが、答えられなくても恥ずかしいことはありませんし、詰まっているとクラスメートが手助けをしてくれます。

 クラスメートとの交流についてですが、友達を作りたいという思いはみな共通しているようで、仲良くなるのに時間はかかりませんでした。私のクラスでは「WhatsApp」というアプリを通じてグループチャットが頻繁に行われていました。ホームパーティーの連絡をしたり誰かが載せたニュースのトピックについて話し合ったり、兎に角前もってインストールしておくとスムーズです。放課後にはみんなでビリヤードをして遊んだり、クラスメートの家にお邪魔したりしました。ちなみに当日急に誘われることが多いので、必要な買い物などは土日に済ませておくと便利です。

 日本人留学生の殆どはDEFLEの近くにある寮に住みます。この寮というのが市街地からかなり離れており、近くにはなにも店がないため食材の買い出しに行くのも洗濯に行くのも一苦労でした。買い物に行くのにはトラムと呼ばれる路面電車に乗らなければならないのですが、私は定期券を購入しなかったので毎回まとめ買いをしていました。ちなみにこのトラムはしょっちゅう運休します。買い物を終えて重たい荷物を抱えながら、代わりのルートを探すこともありました。これが留学生活で最も大変だったことかもしれません…

 前述したように、私が通っていたのは留学生向けの語学学校だったので、そこには多国籍のクラスメートと数名のフランス人の先生しかいません。したがって、フランス人と交流するためにはサークルに入るか、日本語ボランティアとしてフランス人学生の授業に参加する必要がありました。殆どの日本人学生は前者が多かったのですが、私は後者でした。私の場合はフランス人院生と一緒に演劇をするという授業に参加し、そこでは脚本作りから実際にお客さんを呼んで上演まで行いました。このボランティアに参加するもしないも自由ですがネイティブのフランス語を身近で学べるうえ、なにより一つのものを一緒に作り上げることによって達成感が生まれたことが醍醐味であったといえます。

 最後にはなりますが、私は海外留学で得られるのは語学力だけではないと考えています。私はこの貴重な4ヶ月を経たことで、人の顔色ばかり窺うことはやめたし、外国語に対して恐怖心を抱かなくなったし、そして人と関わるのが好きになりました。留学に行って後悔することは絶対にありません。それが皆さんの糧となることを祈っています。