ボルドーでの留学生活を終えて
人間文化課程 須藤優希乃
大学2年生の9月から、3年生の5月までの9ヶ月間、私はフランスへ語学留学を行いました。その時の体験を、みなさんにも共有したいと思います。
2023年の9月4日、私はボルドーというフランスの南西にある街を目指して飛行機に乗りました。とは言っても、ボルドーへの直行便の飛行機はありません。私はシンガポールで一度乗り継ぎを行って、パリに着陸しました。そこからは、TGVというフランスの新幹線のようなものに乗ってボルドーへ向かいました。
フランスに到着してから、はじめの1週間が1番忙しく辛い期間だったなあと振り返ってみて思います。フランス語がまだまだ謎の呪文のように聞こえる中で電車を何本も乗り継ぎ、受付のお姉さんには会話が通じないからと嫌な顔をされ、寮の共同キッチンは想像を絶するほど汚く、世界でひとりぼっちなのではないかと疑ってしまうくらいの孤独感を抱えながら過ごしていました。
そんなどん底の状態からすくい上げてくれたのは、現地で出会った友人たちでした。日本語を学んでいるフランス人たちと仲良くなり、私の拙いフランス語を優しく根気強く聴いて会話してくれました。彼女たちが私のためにご飯をつくってくれて、久しぶりに誰かと一緒にご飯を食べたときには、嬉しさとこれまでの寂しさとがいっぱいになって涙が止まりませんでした。
現地では、語学学校に通っていました。世界中から年齢問わず学生が集まり、毎日が驚きや発見の繰り返しでした。私のクラスには、中国・ウクライナ・ペルー・ベトナムなどから来た学生が多かったです。授業は週4日で、午前中だけ・午後だけの日もありました。授業のない日は、日本語学科の授業(フランス人が日本語を学ぶ授業)にボランティアに行ったり、街にある美術館を訪れたりしていました。
ボルドーの街は、とても暮らしやすくて美しい街です。トラムという路面電車で大学から街の中心部まではおよそ30分で移動できます。街の建物はすべて白っぽい石造りで統一されていて、晴れた日はもちろんですが雨の日も幻想的で絵画のような街並みにうっとりしてしまいます。日曜日にはマルシェや骨董市が開かれていて、朝一番に野菜を買いに行って市をめぐってポストカードや古本を探すのが休日の楽しみでした。また、オペラの劇場やコンサートホールがいくつもあるためバレエやオーケストラの鑑賞も月に1回行っていました。盛岡と比較すると少し大きめの都市ですが、中心部から少し外れると公園や森林もあり、日常的に自然にも触れることができるのもとても嬉しかったです。