岩手大学 人文社会科学部 人間文化課程

ヨーロッパ語圏文化プログラム フランス言語文化専攻

ボルドー留学体験記

渡邉 ちさと

●授業について

 そこでは、最初に受けたテストでレベル別にクラスが決められてクラスごとに授業を受けました。クラスメイトは約20人程度で年齢国籍は様々でした。中には子供が二人いるお母さんや、もともと自分の国でエンジニアとして働いていたけれどフランスの大学院に入るために学校に通っている人など、様々でした。いろいろな年齢・国籍の普段はなかなか関われない人たちと友達になり、とても良い経験となりました。そして、性格や人柄などはやはりその国ごとの色があるなと強く思いました。

 次に授業について詳しく話したいと思います。授業は先ほど言ったようにクラスごとの授業でした。プリントを解いてあとで皆で答え合わせをしたり、ペアになってお店や病院でのやり取りの練習、みんなの前で出されたお題について話したり、ニュースをみたり歌の歌詞をみんなで分析して歌ったりなど様々な形で授業が進められました。最初の内は授業で先生が言っていること自体も難しくて、なれるのに時間がかかりました。また、日本人は比較的、他の国の人よりも文法は得意なのですが、他の国の人たちよりも話すことや聞き取りが苦手で、授業に置いて行かれないように、そしてレベルアップをできるように、積極的に授業に参加、発言をし、先生にわからないところを逐一質問するということを私は心がけました。授業中は辞書を使うことは禁止されていましたが、分からない単語を先生に聞くと私が分かるまで根気強く例を挙げて説明をしてくれて、記憶に残るしとても分かりやすかったです。

 次に時間割です。時間割はクラスごとに違って、私は金曜日が全休でした。寮から学校までは歩いて7分でとても通学は楽でした。昼は家に一度帰って食べたり、あまり時間がないときはお弁当を持って行ってクラスメイトの人と食べたりしました。また、週に1,2回フランス人の友達と約束をして学食で一緒に昼ご飯を食べていました。お昼ご飯の時間は、友達とフランス語で話すとても良い機会でした。放課後は友達と一緒にスーパーへ買い物に行ったり、家で授業の復習をしたり、寮の外にあるベンチで友達とのんびり話をしたりと、とても充実した平日を過ごせました。


●休日の過ごし方 

 休日は、街へ行き買い物やカフェ、美術館に行ったり、近くの町へ観光に行ったりしました。特に、私は映画が好きなので映画館に映画を見によく行きました。フランスには映画館がたくさんあり、値段も800円ほどと日本よりも安くとてもうれしかったです。フランス人の友達は私が知らない映画をたくさん知っていて、映画のことについて話すのはとても面白かったです。映画はフランス人にとってとても近い存在なのだと思いました。また、フランス人の友達の家で日本の料理とフランス料理を作りあうということを何度もしました。お互いの食文化を知る良い機会でしたし、何よりおいしく、楽しかったです。

 ヴァカンスという長期休暇が四度ありました。私はその休暇を利用してフランス国内、ヨーロッパの国々へ旅へ行きました。外国でも何千円といった安い金額で簡単にいけるし、そして日本からだと中々いけないと思い、いろいろな友達といろいろなところを旅しました。フランス国内でも、少し電車に乗っただけで気候も町並みも景色も全然違い、フランスとはとても興味深い国だなと思いました。また、フランス国外の国々も、大陸でつながっていて近いというのにそれぞれ全然違った文化、国柄でとても不思議に思いました。短い期間でこんなにいろいろな世界を見て経験できてよかったとつよく思いました。


●思い出深いこと 

 まず一つ目は、うれしいことに、パックというフランスのイースターの休暇中に仲良くなったフランス人の友達の実家に二週間ホームステイさせてもらえたことです。ホームステイでは一緒に過ごさなければわからなかったフランス人の慣習や料理、そしてイースターの祭りの様子を実際に経験することができてとても良い経験となりました。フランス人は本当に話好きで、みんなが話す話題はコロコロと変わり、私のフランス語能力では追いつけないということも多々ありましたが、私を考慮して、今話していることはこんなことだよと説明してくれたり、フランスの様々なことについて教えてくれて、とても家族の人は親切で楽しいひと時を過ごすことができました。また、うれしいことに、今年の9月にそのホームステイを受け入れてくれたその友達が岩手大学に1年間の留学に来るので、その子が正月に私の実家に来て一緒に日本の正月を過ごす予定です。

 二つ目は、歯が痛くなり歯医者に行ったことです。私はもともと歯が弱く、日本でも行きつけの歯医者で定期的に検診もしていて、渡航前にも歯医者に行って検診をしたはずなのに留学中の3月あたりから歯が急に痛み出してしまいました。最初は、すぐ直るだろうと思い、放っておいていたのですが、どんどん痛くなってしまいには痛すぎて夜眠れないほどにまでなってしまいました。急いで歯医者に行きました。歯医者の人はもちろんフランス語しか通じなく、おまけに話すのがめちゃくちゃ早いし私にフランス語が通じないだろうと思ったのか、全然治療のことや今後どうすればいいのかは言ってくれなくて、不安だらけの診察でした。すぐ神経を抜かれ、簡易的な詰め物をされ、もう終わりかと思ってルンルンで帰りました。そして1か月後、その詰め物が取れてしまい、また同じ歯医者に行って取れてしまったことを伝えたら、当たりまえだろまだ治療終わっていないんだからと言われてしまい、しかし私はその状況がつかめず5分ほど話をしてまだ治療は終わっていないということを分かりました。今度はしっかりとしたインプラントのようなものをはめてもらい、計三回にわたる歯医者が終わりました。わからない専門用語が多く、意思疎通がとても大変でしたが、とても良い経験になったのではないかと思います。

 


●留学の成果

 留学をした成果として挙げられることは三つあります。まず一つ目は、フランス語力が以前よりもぐんと上がったことです。フランスに着いたばかりのときは、初級クラスの先生が話すゆっくりとした話でさえもほとんど理解できませんでした。しかし毎日学校に通い、フランス人の友達やクラスメイト、隣人と積極的にフランス語で話し、家に帰ったら授業の復習をする、ということをしていたら最終的には早いフランス語も聞き取れるようになり、フランス語で友人とすらすら話せるようになりました。帰国後にうけたDELFではB1のレベルの資格を取ることができました。今後もフランスで学んだことをそのまま維持し、さらにスキルアップしてDELFでB2の資格を取ることが目標です。

 二つ目は、以前より積極的に自分の意見を言えるようになったことです。フランスに行く前は、自分の思ったことを言うか言わないか迷った場合は言わないことが多めでした。しかし、フランスで生活すると、日本にいるときよりも自分の思ったことを言わなければならない場面が多く、周りの人達が日本よりもはっきり自分の思うことを言うため、言わなかったら損するなと思うことも多かったため、自分の思うことを言うか迷ったらとりあえず言ってみようという考えに変わりました。しかし、日本はどちらかというと和を大切にする文化だと思うので、そのはっきりした物言いがひとを傷つけてしまうということもありえると思うので、言い過ぎも言わなさすぎもどちらがいいとは言えなく、考え物だなとも思います。

 三つめは、自分を見つめなおすことができたということです。日本人とは違った価値観を持つフランス人や留学に来ている他の国の人たちと交流することで、こんな考えがあるのかといった新たな発見をすることが多く、併せて自分について考えることができました。そして、また日本を客観的に考えることもできました。日本にいたら気が付かない日本の良い部分悪い部分など、外国にいるからこそわかる日本を考えることができました。


●最後に

 留学中は楽しいことはたくさんありましたが、大変な思いをしたこともたくさんありました。でも、その大変なことを自分の力で乗り越えてきたことはこれからの自信につながるし、生きる力や物事を対処する力が前よりもついたように思います。この留学を通して自分自身とても成長できたのではないかと思います。留学をして本当よかったと思います。この貴重な体験をさせてくれた親にとても感謝しています。


クラスメート

DEFLの校舎の様子

ボルドーの街の様子

寮の前の様子