学部長挨拶

 

人文社会科学部で深く広く学び、自分を成長させてみませんか

ご挨拶

 わが人文社会科学部は1977年に、それまでの教養部を改組し、「専門深化」と「総合化」を学部の教育理念に据えたユニークな学部として創立されました。この教育理念は「あることを深く学ぶには、広い視野を持ち、周囲の様々な事柄との関連の中で総合的に捉えることが必要である」という考えに基づくものです。

 これは私たちが複雑化・高度化する現代社会を生きる上で必要な「状況を的確に把握・分析・判断・行動する」という能力を培う上でとても重要な意味を持ちます。「ある分野しかわからない」ということは「その分野についてもわかっていない」ことになりかねないのです。

 2010年代初頭まで「人文社会科学部」という名称の学部は国公私立大学を通して本学部だけでしたが、2010年代を通じて5つの国立大学の「人文学部」が「人文社会科学部」に改称・改組されました。そこでは、各大学で表現は様々であるものの、総じて「総合的視点の獲得」が改組後の教育方針として謳われています。このことからも、本学部の教育理念は時代の先を読んで創られたものであり、それは今の時代にいっそう輝きを増していることがわかります。

 本学部は、人文科学・社会科学はもちろん、自然科学までも含む様々な広範囲にわたる科目を用意しています。そして、「専門深化」と「総合化」を図るために、「人間文化課程」と「地域政策課程」の2課程制の下に「主・副専修プログラム制」を設けるとともに、「総合化」の結節点となる必修科目=「総合科学論」を配置しています。

 このようなカリキュラムの下で、皆さんは、自分の専門分野について系統的に学ぶとともに、幅広い学問分野に触れることによって、専門知識の修得にとどまらず、物事を多角的・総合的に捉える能力を身につけることができるでしょう。

 これこそがまさに「専門深化」と「総合化」の相乗効果です。少人数で行われる演習(ゼミ)で行われる活発な討論は、この能力をいっそう高め、さらに皆さんのコミュニケーション能力をも向上させることになります。

 

 大学教育が時代の流れに対応することは必要ですが、目先の時流に振り回されては大切なものを見失います。本学部は、大学教育で最も大切なこと=「学生が、自分なりの問題意識を持ち、自分の頭で考え、的確に判断し、解決策を見出していけるようになること」を教育の根幹に置いています。

 グローバル化の波が全世界を席巻する中、大学にもそれへの対応が求められています。しかし、大学が立地し、学生・教職員が現にそこで生活している、足元の「地域」に目を向けないようなグローバル化対応は空虚なものに終わってしまいます。地域に根ざし、地域に現実に起きている問題をしっかりと把握して、その解決を展望する中でこそ、大学は真のグローバル化対応を行えるのではないでしょうか。東日本大震災の被災県に立地し、これまでも被災地の復旧・復興に取り組んできた岩手大学にはとりわけ、そのような対応が期待されています。

 本学部は、今後も地域に根ざし、地域貢献を教育・研究の重要な柱の1つとする学部として、さらなる発展を図っていきます。

 皆さん、教育・研究のさらなる飛躍を図っている人文社会科学部で広く深く学び、自分を成長させてみませんか。

 

学部長 横山 英信

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