研究室探訪三野宮 春子
三野宮 春子
Haruko SANNOMIYA
人間文化課程 【国際文化】
- 弘前大学教育学部中学校教員養成課程英語科 (1997年)
- University of South Caroline, Liberal Arts and Science (1998年)
- University of Hawaii at Manoa, Graduate School【修士】 (2001年)
- 兵庫教育大学大学院学校教育研究科 【修士】 (2011年)
- 東京大学大学院教育学研究科博士課程 単位取得退学 (2024年)
専門分野について
先生の研究内容を教えてください
英語(外国語)の学習と教育に関する研究を行っています。受験を視野に入れて英語を学んでいる高校生の中には、英語の勉強方法が分からず困っている人や、勉強する意味や楽しさが見出せず悩んでいる人も、少なくないでしょう。また、いつの間にか、英語を使える力よりも試験で得点する力の方を目標にしてしまっている人もいると思います。
私は大学教員になった年の講演会で、異文化に飛び込んで外国語で交流することにより何が得られるか実感してもらう方法を考えて、インプロ(即興劇)を応用したアクティビティを高校生たちに体験してもらいました。体育館いっぱいの高校生たちが英語で生き生きと活動する様子を見て、感動したのを覚えています。その後、生徒たちの感想の中に「英語は教科ではなく言葉なんだ!ということを思い出しました」という一文を見つけ、「あ、私が一生の仕事として取り組むべき課題は、これなんだ!」と腹落ちしました。
「コミュニケーション」とは情報や意見を速く正確に伝え合うだけに留まらず、相手と協働で新たな意味を創り出してゆくクリエイティブなプロセスです。そのため、語彙や文法を丸暗記し、機械的に聞・話・読・書の演習を繰り返しても、英語コミュニケーション能力は身に付きません。「では、どうするか。」この問いを具体的かつ実践的に探究すべく、私は新しい教材やアクティビティを開発し、使用時のデータを分析して考察を行い、その結果を再び開発に還元しています。このようなサイクルを通して、英語の学習・教育に関する知見と教材を同時に生産してゆくのが、私の研究スタイルです。
講義について
どういった内容の授業を行いますか
ここでは「言語習得論」と「英語科教育法」の授業についてお答えします。
まず、「言語習得論」は、母語や外国語を習得するプロセスやメカニズムに関する入門の授業です。解説を交えながら入門書を読み、ディスカッションを通して理論と自分たちの体験を擦り合わせてゆきます。第二言語(外国語)習得論は特に新しい学問領域なので、これまで広く信じられてきた言説が調査の結果ひっくり返されるということが多く、そこが意外性に満ちて興味深いところでもあります。
この授業では、前期・後期に2回ずつ、グループごとにテーマを決めて調査プロジェクトを実施します。2026年前期の履修生が設定したテーマの例を挙げると、母語獲得インタビュー調査では「女児のほうが早く母語を覚えるのか」「絵本の読み聞かせが母語獲得に役立つのか」「幼児の言い間違いは直した方がいいのか」など、広告・雑誌記事の調査では「外国語は聞き流すだけで身につくのか」「性格と外国語習得には関連があるのか」「留学すれば話せるようになるのか」などがありました。
次に、「英語科教育法」は教職科目です。岩手大学の人文社会科学部では、中学・高校の英語教員免許が取得できます。この授業では、今日の英語教育理論に適合した授業実践に必須の基礎的な知識・技能・態度を身に付けるため、いろいろな学習方法や言語活動を体験して考察し、毎週のようにミニ演習を積み重ねていきます。演習の準備や振返りにじっくり取り組む必要がありますが、工夫した成果が表れたときも失敗から発見が得られたときも、そのぶん充実感は大きいようです。また、新しい教え方を学ぶ過程は、これまでの自分の英語学習を見直すことにも繋がります。
学び(前者)と教え(後者)はコインの裏表のような関係にあります。どちらか一方、または両方に関心を持っていただけたら嬉しいです。
高校生へのメッセージ
皆さんは、どのように英語を使っていますか。将来どのように英語を使っていきたいですか。ただ宿題やテストに追われ、ひたすら暗記だけしていたら、味気ない勉強になってしまうかもしれません。自分の動機や学習法を折々に見つめ直して自己調整していきましょう。あなたに合った英語学習の動機や方法は1つではありません。いろいろな動機や学習方略を発見して組み合わせてくださいね。
私が高校生だった頃と違って、英語を使う機会は身近になり、海外の人たちとも容易に交流できるようになりました。そして、多くの人にとって、英語やその他の外国語は、高校・大学卒業後もずっと学び続けるものになりました。人工知能(AI)が普及した現在、AIの間違いを修正できるほど高度な語学力が求められるようになったとも言われています。私は「高度な」には文法や語彙選択の正しさ以外の要素も含まれていると考えて、人が外国語でコミュニケーション行為を遂行するとき実際に何をしているか分析しています。この研究を通して、「生きた言葉」の諸相に少しずつ接近できていると感じています。
このページを読んで「もっと知りたい」と感じた方は、こちら(夢ナビ講義Video)もご覧ください。
https://douga.yumenavi.info/Lecture/PublishDetail/2024003846

