研究室探訪久保田 陽子

久保田 陽子

KUBOTA Yoko

人間文化課程 【仮名書道】

  • 京都橘女子大学文学部国文学科書道コース (2000年)
  • 京都橘女子大学大学院文学研究科 日本文学文化(書道)専攻【修士】 (2002年)

掲載日


専門分野について

先生の研究内容を教えてください。

専門は芸術実践論です。主に日本の「古筆」と呼ばれる筆跡を分析し、その要素を活かした仮名書道や仮名系調和体(漢字仮名交じりの書)の作品を創作する研究をしています。その他、商業書道や書の継承、書を用いた地域振興の研究を、岩手県内の企業や自治体と共同で行っています。

多くの人が国語科書写や習字のことを書道(あるいは書)と認識していると思いますが、芸術書道や生活の中にある多様な筆跡も書の範疇に含まれます。私は、整った書や美しい作品だけが優れていると考えている訳ではありません。世の中には、乱れた筆跡や書かれた内容にこそ意義があるものもあります。また、役目を担う書はそれを十分に果たしているかどうかが重要です。多様な書の表現と内奥から意義や意図を発見し、新たな創作に活かすことが研究の醍醐味だと思います。

講義について

学生にはどういった力を身につけてほしいですか。

仮名書道に関連する日本文化の諸分野や多様な異分野の学びを通して、書の内奥に分け入る力を身に付けて欲しいです。それは創作力を総合的に向上させるだけでなく、予測不能の未来を生きる力にもつながると思います。書道をはじめとする幅広い分野の学修を手掛かりとして、自身を取り巻く世界を考察し変化に対応しながら誠実に活躍し続ける人材に育って欲しいですね。

高校生へのメッセージ

私は、最初から書道を志していた訳ではありません。高校卒業直後に入学した短期大学では、日本文学を勉強していました。近世文学ゼミで江戸時代の瓦版の解読をしたことをきっかけに、変体仮名(平仮名に選ばれず現代では使われなくなった仮名)を駆使して言葉を書いてみたいと思うようになりました。その後、中古文学ゼミに移り王朝女流文学をテーマに卒業研究をしたことでその思いを強くし、社会人を経て書道の専門コースを設ける大学に編入しました。遠回りをしましたが、書道を専門的に学ぶ前に木版印刷の文字資料から江戸時代の人々の姿や社会の片端に触れたことは、無駄ではなくむしろ研究者としての個性を形成する基礎となりました。

多くの学問分野は、他の分野と関連があります。学びの先で別の分野の知見が必要になったり、新たな分野と出会い興味が湧いたりすることもあるかも知れません。人間文化課程には様々な分野がありますので、ぜひ積極的に学修して下さい。

一方で、大学は自由に学びを深める場所でもあります。皆さんの自主的な学びの途上で、ささやかでもお役に立てれば嬉しく思います。


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