研究室探訪小野澤章子

小野澤章子

Onozawa Akiko

人間文化課程 【社会学・社会調査論】

  • 岩手大学人文社会科学部 卒業 (1990年)
  • 明治学院大学大学院社会学研究科博士前期課程 修了 (1992年)
  • 明治学院大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得 満期退学 (1996年)

掲載日


専門分野について

専門分野に興味を持ったきっかけを教えてください

私は、人間行動について社会の面から興味をもって研究しています。特に社会学の実証研究、社会調査の手法を使ってアプローチしています。このようなことに興味を持ったきっかけは、岩手大学の学生時代に遡ります。入学するまでは何を専門で学びたいか自分でもよく分からず、入学後に専門分野を決められる人文社会科学部に進学しました。当時の社会科学コースに所属し、入学後に法律や経済学も学んだのですが、人間や社会をミクロからもマクロからもみることができ、またそれを科学的手法で行える行動科学分野にすっかりはまってしまい、今日に至ります。

特に社会、集団、コミュニティがなぜ成立し、変化するのか、という点に興味をもったのも、学生時代に社会調査実習などで過疎化が進む農山漁村でのフィールドワークに参加したり、また学生寮のコミュニティで感じたことなどからです。人が毎日の日常で生きていくこと、暮らしていくことは当たり前のように思えますが、それがどのようなものなのか、その生活のために他者とどのようにつながりをもっているのか、身近なことをしっかりと理解していきたいと考えるようになり、研究的な関心を深めていきました。

講義について

どういった内容の授業を行いますか

担当する社会調査の実習科目では、他の先生と共同で履修者のグループワークをサポートしています。調査票(いわゆるアンケートと呼ばれるものです)を使って行うソーシャルリサーチの手法を、研究テーマの設定、質問項目の作成、調査協力者への依頼、データの分析検証、報告書作成までの一連の流れに添って実際に行ってみることで、身につけていくというものです。このような社会調査の手法は社会学、行動科学の実証的な研究法の基礎となるものなので、履修者一人ひとりがきちんと学べるよう、実習内容について丁寧に指導することを心がけています。また、履修者同士で協力しながら学びが深まるようにグループでの議論などを重視し、私自身も履修者とやりとりしながら楽しく実習に参加しています。

履修者のほとんどは、人間や社会のデータを自分で直接取る、ということを初めて体験する訳ですので大変なことも多いと思います。例えば、先行研究を踏まえながら新たな仮説を設定したり、プリテストをしたり他の履修者からコメントをもらうなどしながら質問文を適切になるまで修正する必要があります(ワーディングといいます)。このようにデータを扱うには適切な知識と経験が必要で、正確に進めていく方法を学ぶために、履修者には講義以上に主体的な取り組みが求められます。しかし、この実習で身につけた研究方法は特別研究(卒論)など、その後の自分の研究を進めるうえでとても大切な力となっていくはずです。

高校生へのメッセージ

大学での学修は、研究の対象(なにを学びたいか)だけでなく、研究の方法(その問題にどのようにアプローチするか)という部分も明確にすることが大切です。どのようなことに興味があるとしても、科学的なアプローチ、客観的な手法を身につけることは、今後の社会でもより重要になるでしょう。人間の行動をさまざまな角度から学ぶ大変さや楽しさと、何か新しい知識を自分自身の手で生み出す喜びを、みなさんと共有できたらといいなと思っています。


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