研究室探訪田中隆充

田中隆充

TANAKA Takamitsu

人間文化課程 【デザイン学】

  • 神戸芸術工科大学【学士】
  • セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン芸術大学) 【修士】
  • 千葉大学大学院【博士】

掲載日


専門分野について

専門分野の『デザイン学』 について教えてください

産業革命後に大量生産が可能になり、現在に至るまでの約170年近い年月の過程で「デザイン」が定着しています。例えば、紀元前の数々のギリシャ彫刻や歴史的な絵画のように美を追求する「芸術(美術)」と比較しますとデザインは歴史の浅い分野であることが理解できるのではないでしょうか。しかし、芸術とデザインを完全に区別化することはできず、「人を感動させる」という点では、一緒のように思います。さて、デザインをするためには多くの分野(学問)と関わりがあります。人々の心が豊かになるためのデザインには心理学や生活科学等の知識も必要ですし、誰でも使えるデザイン、つまりユニバーサルデザインを確立するためには、ジェンダー、障がい者、高齢者等のことも考えなければなりません。また、競合他社より売れるデザインをするにはマーケティングや機械工学の知識も必須です。いわば、デザイン学は文系や理系の境界のない分野と言えるかもしれません。

先生の研究内容を教えてください。

岩手大学で教鞭をとるまでは、東京でデザイナーをしていました。デザイナーにとって最大の喜びは自身がデザインしたモノやコンセプトが社会で販売され、人々が購入して喜んでくれる瞬間です。この喜びを学生たちにも体験してもらいたいと思い、企業や盛岡市や北上市等の地方自治体との共同研究を積極的に行っています。特に地域と関わりのある共同研究を行っていますが、例えば、「ヨーロッパで販売する輸出用の南部鉄器のデザイン」や「岩手県民の脳卒中率を下げる目的の減塩醤油のパッケージデザイン」等、これまで100件近い共同研究の契約を行ってきています。もう一つは、研究者としての基礎研究があります。インターネット通販では大きな家具等も購入出来ますが、大きな製品は分解して運ばれてくるため、我々は自分で組み立てなければなりません。簡単に組み立てられるためには、部品同士の接合部分のデザインが重要な要素だと考え、接合のデザインの研究をしています。二つ目の基礎研究はパッケージデザインの研究です。例えば外国の旅行客に喜んで商品を購入してもらうためのパッケージの書体や色彩の探求も大事です。デザイナーは感覚的に書体や色彩を決めていますが、「なぜ?○○の国の人がこのパッケージデザインを好むのか?」という問いに対して学術的なアプローチは実はあまりされていません。

講義について

『デザイン学』に関する授業内容を教えてください。

デザイン学から生活を豊かにするコトやモノ、地球と共に生きるための手段等を提案できる基本的な考え方について課題を通して学んでいきます。したがって、授業では学生たちが柔軟な発想やコンセプトを提案できるように、2〜3コマで1つの課題を行い、出来るだけ皆さんが興味あるテーマを提示するように心がけています。

高校生へのメッセージ

皆さんはオンラインによるコミュニケーションや情報収集に慣れていると思います。しかし、人間の五感を使ったリアルな体験は必ず人生の役にたちます。私は大学3年生の時に、外国語が全く話せないのにヒッチハイクに近い状況でヨーロッパを1ヶ月間、周遊しました。親切にしてくれた方々もいれば、逆にスリの被害にもあいました。景観や文化の違いだけではなく、「人の心をもっと知りたい」という奥の深い考えを旅から持つようになり、今でもデザインをする上で役立っています。人と会い、現場の環境を五感で知ってこそ、満足、感動を与えるデザインが出来ると信じています。皆さんには、オンラインとリアルな体験を上手に使い分けて貴重な時間を過ごしてほしいと切に思います。


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