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宮沢賢治いわて学センター 第9回研究会のご報告

掲載日ニュース


名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第9回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第114回定例研究会)
日 時: 2021(令和3)年9月24日(金)17:00~18:30
会 場: オンライン(Zoom Meetings使用)
講 師: 市川 寛也 氏(群馬大学共同教育学部准教授/芸術学)
演 題: 「農民藝術」の視点から 地域と芸術の関係性について考える
     ──「金ケ崎芸術大学校」におけるアクションリサーチを通して──

司 会: 木村直弘(当センター副センター長)
参会者: 65名

【発表要旨】
 本発表では、宮沢賢治が1926年に著したとされる『農民芸術概論綱要』を中心に、その思想の歴史的背景を辿りつつ、現代的解釈を試みた。ここに記された「職業芸術家は一度滅びねばならぬ」というフレーズは、芸術学を専門とする発表者にとって衝撃的なものであった。と同時に、これは現代においてもなお強いメッセージを放つ。この主張の本質に少しでも近づくために、まずは同時代の「農民芸術」をめぐる言説を辿った。
 農民芸術研究の論点は数多あるが、今回は山本鼎が1919年から展開した「農民美術」と対照させながら検討した。そこから「創造的労働」というキーワードを導き、その背景にウィリアム・モリスやエドワード・カーペンターの思想を見出した。こうした視点は「生活の芸術化」をめぐる議論にも呼応する。宮沢賢治の「農民芸術」もこのような同時代のうねりの中で生み出されたものと考えられる。
 『農民芸術概論綱要』は、それ自体が開かれたテキストとして様々な立場から読まれ続けてきた。その一例として、鶴見俊輔の『限界芸術論』における解釈を取り上げた。文中で賢治の芸術観を論じた「ヴィジョンによって明るくされた行動」としての芸術の捉え方は慧眼である。この視点を援用することで「農民芸術」と「現代芸術」とを結びつける論点を組み立てた。
 最後に、発表者が岩手県胆沢郡金ケ崎町で取り組む「金ケ崎芸術大学校」の実践を紹介した。金ケ崎には、かつて仙台藩の要害が置かれ、往時のまちなみを残していることから、現時点では県内唯一の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。「半士半農」の暮らしを特徴とする金ケ崎の一軒の古民家を「生活の芸術化」の実験場として展開することで、花巻の民家を拠点に設立された「羅須地人協会」の現代的解釈を試みることが主眼である。その結果については改めて現地で共有したい。

▼市川 寛也 氏による金ヶ崎芸術大学校からのオンライン講演風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮沢賢治いわて学センター第9回研究会チラシ

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