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宮沢賢治いわて学センター 第29回研究会のご報告

掲載日ニュース


名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第29回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第134回定例研究会)
日 時: 2025(令和7)年1月23日(木)17:00~18:15
形 式: オンライン形式(Zoom Meetings)
講 師: 顧 錦芬 氏(台湾・淡江大学日本語文学系・副教授/日本近代文学)
演 題: 『不要輸給風雨:宮沢賢治詩集』 の修訂に寄せて
司 会: 木村直弘(当センター副センター長)
参会者: 36名

【発表要旨】
 今回の発表では、主に中国語訳『宮沢賢治詩集』の出版経緯や再版の修訂について述べさせていただいた。『春と修羅』(四十二篇)から文語詩まで合計八十三篇の賢治詩の中国語訳の他に、「キーワード小辞典」や解説や年譜を付載する『宮沢賢治詩集』(繁体字版)は、二〇一五年十二月に初版が、二〇二四年十一月に再版が台湾で出版された。簡体字版は二〇一七年一月に中国で出版された。
初版では原詩に忠実に直訳する方針をとったが、再版では初版の翻訳を元に、八割ほど修正や潤飾が行われた。具体的な修正例として「青森挽歌」、「冬と銀河ステーシヨン」、「どろの木の下から」を挙げ、潤飾した例として「おきなぐさ」、「真空溶媒」、「北上川は熒気をながしィ」、「白菜畑」を挙げて説明した。
 そして、修訂時に特に難しいと感じる箇所は方言やオノマトペ、日本の天候や文化情報などである。また、賢治詩に感心した点は、その奇抜で巧みな文字表現や、いきいきとした自然描写や、飾り気のない感情表現などである。
 全体的に言えば、再版の修訂は何かしら原文と対照しづらくなる箇所があるかもしれないが、初版の直訳風が和らぎ、中国語として多少読みやすくなったのではないかと思う。今後もできる限り賢治の真意であろうものに近づき、中国語圏の読者と宮沢賢治の架け橋となる努力を続けようと思う。

宮沢賢治いわて学センター第29回研究会チラシ

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