宮沢賢治いわて学センター 第30回研究会のご報告
掲載日ニュース
名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第30回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第135回定例研究会)
日 時: 2025(令和7)年3月21日(金)17:00~18:10
形 式: オンライン形式(Zoom Meetings)
講 師: 吉田 悠樹彦 氏(慶應義塾大学講師/メディア研究・芸術評論)
演 題: 踊る宮沢賢治と宮操子、そして江口隆哉──佐伯郁郎と森荘已池から──
司 会: 木村直弘(当センター副センター長)
参会者: 51名
【発表要旨】
宮澤賢治と上演芸術という切り口では、これまで音楽や浅草オペラなどを取り上げた多くの先行研究がある。ダンスとの接点ではこの時代に活躍をした高田雅夫や江口隆哉が取り上げられることが多い。
そこで本発表ではこれまで見過ごされてきた宮操子を軸にしながら、同時に高田や江口に対して考察をおこなった。佐伯郁郎の残した宮沢賢治他界直後の記録と岩手出身者による同郷者ネットワークの存在について述べた。そして高田雅夫と高田せい子による高田舞踊団について述べ、江口と共に独立する前は高田舞踊団のスターであった宮操子のプロフィールを紹介した。その上でこれまで語られていない宮沢と宮の関係を論じた。
さらに賢治他界直後のメディアの状況と他界の翌年に岩手で行われた宮・江口の帰朝公演について考察を行った。最後に宮沢本人と親交があった批評家・森荘已池が語る生前の宮沢賢治の踊る姿とその動き、その背景にある宮(・江口)に通じる岩手という精神的風土について考察をした。
一連の作業を通じて宮澤賢治と浅草オペラ、宮沢賢治のテキストに於ける演芸を考察する上でこれまで研究されてこなかった論点を提起した。宮沢賢治と上演芸術を考察する上で欠かせない一つの視点と考えることができる。

宮沢賢治いわて学センター第30回研究会チラシ