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宮沢賢治いわて学センター 第33回研究会のご報告
名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター第33回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第138回定例研究会)
日 時: 2025(令和7)年9月19日(火)17:00~18:10
形 式: オンライン形式(Zoom Meetings)
講 師: 深田 愛乃 氏(日本学術振興会特別研究員PD/日本近代教育思想史)
演 題: 大正新教育の〈農〉への展開──宮沢賢治と岩手教育者の実践──
司 会: 木村直弘(当センター副センター長)
参会者: 40名
【発表要旨】
宮沢賢治(1896〜1933)は童話作家・詩人として広く知られる一方、岩手の農村現場に根差した教育を実践した教育者でもある。しかし、賢治が関心を寄せた岩手の「大正新教育」の実態や、その中で彼の実践がどのような位置を占めるのかは十分に検討されてこなかった。本講演では、賢治の教育の特徴──教科書に依らず原著を用いる学び、身体を通した理解、芸術を積極的に取り入れる試み──がどのような地域的・思想的背景のもとで育まれたのかを、岩手の教育者たちの動向と照らし合わせながら考察した。とりわけ「農」をめぐる視点に注目し、農作業や地域生活を学習へと結びつけようとした当時の新教育の広がりを概観することで、賢治の実践を位置づけ直した。こうした検討を通じて、「大正新教育」が岩手においていかに独自の展開をみせたのか、その意義を明らかにすることを目的とした。


