研究室探訪横山 英信

横山 英信

YOKOYAMA Hidenobu

地域政策課程 【農業経済論】

  • 東北大学経済学部経済学科 (1986年)
  • 東北大学大学院農学研究科農学専攻【修士】 (1988年)
  • 東北大学大学院農学研究科農学専攻【博士】単位取得退学 (1991年)
  • 東北大学【博士(農学)】 (1995年)

掲載日


専門分野について

農業経済論に興味を持ったきっかけを教えてください

私は高校の時に法曹界に憧れており、そのため大学には法学部で入りました。大学1年次の授業では法学の授業も面白かったのですが、教養科目でとった経済学の授業が、現実の社会問題を経済学の視点から説明するという刺激的なものであり、その授業を通じて「市民社会の解剖学」である経済学に強く惹かれるようになりました。また、これをきっかけとして、大学院に進んで経済学の研究者になりたいと考えるようになり、その結果、3年次に経済学部に転学部しました。

3年次・4年次では様々な専門科目を受講し、経済学のいろいろな分野に興味が向きましたが、私が学部生であった1980年代前半はアフリカの飢餓問題が深刻であり、世界的に注目されていたこともあって、とりわけ世界の食料問題に関心を持ちました。また、その頃は日本の行政改革との関係で、米の需給に密接な関わりを持つ「食糧管理特別会計」の赤字が問題とされていた時期でもあったため、日本の農業問題についても取り組んでみたいと思いました。

このようなことから、大学院は、食料・農業問題を深く学び、研究できる環境が整っていた、同じ大学の農学研究科に進みました。

農業経済論は農産物の生産・流通・消費をめぐる経済事象を分析する学問ですが、その対象は農村社会の動向、農産物貿易に関する国際ルール、農業をめぐる環境問題などかなり幅広い範囲にわたっています。現在、私はグローバル化時代における日本の農業政策の性格について研究しています。

講義について

どういった内容の授業を行いますか

農業経済論の授業は、私も執筆陣に加わった農業経済論のテキストをベースに、補足の資料も用いながら行っています。農業経済論の講義は、前期が「農業経済論Ⅰ」、後期が「農業経済論Ⅱ」と分かれていて、前期では現代の世界と日本における食料問題(需給問題、安全性問題、食品表示問題など)と日本の農業政策について、後期では現代日本農業の各部門(米・麦などの穀物、園芸、工芸作物、畜産など)が抱える諸問題と農村地域の活性化に関する問題を扱っています。

授業では、単に食料・農業をめぐる現状を話すのではなく、それがどのような社会的・経済的背景の下で生じたのか、またそこで生じている事象は経済学的にはどのように説明できるのか、という点に力点を置いて解説しています。

また、3年次の後期のゼミ(「農業経済論演習Ⅱ」)では、農業の現場を肌身で感じてもらうために、農家さんに泊まり込み、農作業のお手伝いをしながら農家の方々と交流する「農村ワーキングホリデー」を行っています。

高校生へのメッセージ

他の学問分野と切り離されて独自に存在する学問分野はありません。農業経済論の研究を行うにあたっても、経済学全般に加えて、法律学、政治学、社会学といった他の社会科学分野、さらには農業に関連する自然科学分野の基本的な知識・考え方を修得していることが必要です。

そのような知識・修得の場として大学の教養教育科目がありますが、その基礎となるのが高校の授業です。基礎がないところでの応用・発展はありえません。ともすれば「大学受験のための知識の詰め込み」と批判されることが多い高校教育ですが、そこに改善が必要な点はあるにしても、受験のためであれ何であれ、幅広い知識を身につけることは、大学での勉学を含めて、皆さんの人生にとっての大きな糧となります。

その意味でも、皆さんには目指す大学の受験科目以外の科目についても高校でしっかりと勉強してほしいと思います。


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