研究室探訪髙橋 愛

髙橋 愛

TAKAHASHI Ai

人間文化課程 【アメリカ文学】

  • 都留文科大学文学部英文学科 (1997年)
  • お茶の水女子大学大学院人間文化研究科言語社会文化学専攻【修士】 (1999年)
  • 広島大学大学院総合科学研究科総合科学専攻【博士】 (2016年)

掲載日


専門分野について

先生の研究内容を教えてください

19世紀の半ばのアメリカ文学、特にハーマン・メルヴィルの小説を研究しています。メルヴィルは捕鯨船員などを経て小説家としてデビューし、『白鯨』などの長編小説、「書記バートルビー」などの短編小説、さらに詩も発表しています。メルヴィルの文学は様々な観点から研究されているのですが、私は彼の作品におけるジェンダーの表象、特に「男らしさ」の表象に関心を持っています。メルヴィルがその作品で男たちをどのように描いているのかを分析し、それが同時代の「男らしさ」の規範をどのように反映、あるいは、逸脱しているのかということを考察しています。

専門分野に興味を持ったきっかけを教えてください

そもそもアメリカの文学に興味を持ったのは、テレビ番組やミュージックビデオを通して幼い頃からアメリカという国に憧れを抱いていたうえ、本を読むのが好きだったからだと思います。そのようなアメリカ文学に対する漠然とした興味がハーマン・メルヴィルという特定の作家に向かったのは、学部時代のゼミ配属がきっかけです。それまでの授業などで「難解」と聞いて避けていたのですが、メルヴィルを読むゼミに入ることになったのがきっかけに『白鯨』を翻訳で読みました。確かに難解だったのですが、第36章の「後甲板」で描かれる主人公のエイハブの姿になぜか強く心を揺さぶられました。150年以上前のアメリカ人作家の書いたものの何が現代の日本に生きる自分の心を揺さぶったのかを知りたくて、メルヴィルの作品をきちんと読んでみようと決意しました。この読書体験が決定打になったのだと思います。

講義について

どういった内容の授業を行いますか

主に担当している授業は、「英米文化論講義」「英米文学講義」「英米文学演習」です。「英米文化論講義」では、連邦法定休日を切り口にして、アメリカ合衆国とはどのような理念を持っている国なのか、その理念に対して現状はどうかといったことを考えています。「英米文学講義」では、19世紀のアメリカの作家を中心に、作家の略歴や作風、代表的な作品について講義をしています。「英米文学演習」では、様々な作家の作品に原文でふれることにこだわり、複数の短編小説の講読を行っています。

講義で気を付けていることはありますか

講義では、映画やニュース映像などを積極的に取り入れ、内容をイメージしやすいようにしています。レスポンスカードでもらったコメントや質問に対するフィードバックをこまめに行い、一方的な授業にならないようにも心がけています。

高校生へのメッセージ

人文系分野の学びの基礎となるのは読書です。幸いなことに、日本では海外の文学や批評は多数翻訳されていますし、様々な分野に関して新書の出版も盛んです。少しでも興味をひかれることがあれば、その分野に関する本を手に取ってみてほしいと思います。

専門に関連したこととしては、外国語で書かれた文学作品を精緻に読んでいくには語学力が必須となりますので、大学進学前から英語をしっかり勉強しておいてほしいです。また、背景にある歴史や文化について知識があると、登場人物の考え方や言動を理解するのに役立ちます。欧米の近現代史を中心に世界史の知識も身につけておくとよいでしょう。


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