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宮沢賢治いわて学センター 第34回研究会のご報告

掲載日ニュース


名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第34回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第139回定例研究会)
日 時: 2025(令和7)年11月25日(火)17:00~18:25
形 式: オンライン形式(Zoom Meetings)
講 師: 呉 詩揚 氏(岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科博士後期課程/日本近代思想史)
演 題: 宮沢賢治の死生観と十善戒──初期宗教志向との関係を中心に──
司 会: 木村直弘(当センター副センター長)
参会者: 35名

【発表要旨】
 宮沢賢治(1896〜1933)の死生観は終始一貫したものではなく、人生の出来事や創作の段階によって性格が異なっていると考えられる。本報告は、妹・宮沢トシの病死以前に焦点を絞り、賢治の初期死生観と『十善法語』を中心とする十善戒思想との関連を検討したものである。具体的には、「蜘蛛となめくじと狸」「双子の星」「毒もみの好きな署長」「よく利く薬とえらい薬」「クンねずみ」などの童話を取り上げ、物語に見られる「悪」(殺生のみならず、妄語・瞋恚・貪欲・嫉妬といった十善戒が戒める諸悪)が、しばしば死や消滅の契機として描かれていることを示した。 そのうえで、江戸期の慈雲飲光による『十善法語』のテクストに見られる「悪の報いとしての死」や「破滅としての因果」といった倫理観と比較しつつ、宮沢賢治の初期の死生観が十善戒的な価値基準と深く響き合っている可能性を検討した。こうした検討を通じて、十善戒的な因果倫理に支えられた「悪の死」としての段階を経て、宮沢トシの死を契機に、「善き者の死」と「永遠の命」をめぐる法華経的な段階へと、賢治の死生観が重層的に変容していくことを指摘した。

 

 

 

宮沢賢治いわて学センター第34回研究会チラシ

 

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