研究室探訪鋤田 智彦
鋤田 智彦
SUKITA Tomohiko
人間文化課程 【中国語学】
- 大東文化大学外国学部中国語学科 (2000年)
- 早稲田大学第一文学部中国文学専修 (2002年)
- 早稲田大学大学院文学研究科中国語・中国文学専攻【修士】 (2005年)
- 中国社会科学院語言研究所高級進修生 (2007年)
- 早稲田大学大学院文学研究科中国語・中国文学専攻【博士】単位取得退学 (2010年)
- 同【博士(文学)】学位取得 (2013年)
専門分野について
先生の研究内容を教えてください
一口に中国語といってもその歴史は長く、また地域による差異も大きく存在します。それらを対象とする幅広い「中国語学」のうちでも、私自身は明・清朝ころ(14世紀半ば~20世紀初め)の中国語音についての研究を進めています。この頃は中国国内はもとより、外国語として中国語に触れた人々の、それぞれ自身の言語・文字を用いて中国語を書き記した資料が残されています。例えば、朝鮮半島では15世紀半ばにハングルが作られ、その後、ハングルで中国語音を示した「老乞大」という中国語教科書が作られたり、17世紀には西洋の宣教師がその活動の助けとするためにローマ字で中国語音を記した『西儒耳目資』という韻書(辞書の一種)が作られました。また、清王朝を作った満洲族は、自身の文字である満洲文字で漢字の音を書き記しました。そのような漢字ではない文字で中国語を記した資料を用いて、当時の中国語音の様子を明らかにすることを目指しています。
講義について
どういった内容の授業を行いますか
授業は毎学期「中国語学講読」、「中国語学講義」、「中国語学演習」の三つを中心に進めています。一つ目の「中国語学講読」は、実践的な中国語を習得するための授業で、中国で出版された類義語辞典を読み進めています。この授業には例年中国からの留学生の方にも出席してもらい、テキストの説明ではよくわからないことなども、その場で質問したりして、活潑な議論が交わされています。二つ目の「中国語学講義」は、中国語とはどのような特徴を持つのか、とか、中国語はどのように変化してきたのか、とか、中国語と外国語の関係はどのようであるのか、など、主に音に注目したテーマを取り上げ授業を進めています。最後の「中国語学演習」は学生皆さんの研究、調査能力を高めるために、文献を読んでそれに関する資料を自身でさらに深くまとめたり、それぞれの興味があることについてまとめ、発表する場となっています。
高校生へのメッセージ
これまで中国語学を専門とした先輩は、そのほとんどが大学に入って中国語を学び始め、中国語や中国文化などに興味を持った方々です。私自身の研究の分野は上で述べたとおりですが学生の皆さんの研究テーマは幅広く、漢字について、中国語教育について、文化についてなどそれぞれです。また、人文社会科学部には「課題解決型国際研修」という中国に赴く二週間の研修があり、他にも半年、あるいは一年といった中国の大学への交換留学制度も整備されています。これらは実際に中国に触れることのできるまたとない機会です。言葉ができるそのものの楽しみもありますが、それを通してさらにはどのようなことができるか、そのようなことを想像してみるのもいいのではないでしょうか。