研究室探訪本庄 未佳
本庄 未佳
HONJOH Mika
地域政策課程 【憲法・憲政史】
- 成城大学大学院・法学研究科・法律学専攻(博士後期課程) (2021年)
専門分野について
先生の研究内容を教えてください。
日本国憲法の掲げる平和主義といえば、戦争放棄条項(以下、9条)ばかりが取り上げられ、いつしか9条が平和主義そのものと同義的に解釈されています。一方で、憲法前文には「恐怖と欠乏から免かれ平和のうちに生存する権利」として、平和が人権であることが明示されています。しかし、憲法前文の平和主義と9条の関係は不明瞭なままに、9条が「平和」を享受する権利そのものになっています。私は、憲法前文の制定過程を研究することで、憲法の追求する「平和」概念が、軍事的なことから生ずる恐怖を脱却するのみを意味するのではなく、非軍事的なことから生ずる欠乏から免かれることをも意味する人権であることを明らかにしたいと考えています。
講義について
どういった内容の授業を行いますか。
日本国憲法は、基本原理である「国民主権」「基本的人権」「平和主義」が、どんな時代であったとしても侵害されることがないように国家権力を縛るために国民自らが作り上げる国の最高法規範です。そのため、憲法の講義は、人間が人間であるがゆえに享受すべき「人権」の内容やその限界を勉強し、同時に、「統治機構」が憲法によって与えられている権限とその限界について勉強をします。
また、憲法の成り立ちである近代立憲主義の概念や明治憲法・日本国憲法の憲政史についても学ぶことで、より憲法への理解を探究してもらいます。
そして、公務員試験等への対策にもなるように、判例や学説を通じて違憲審査基準を徹底的に学んでいきます。憲法には、立法や行政が憲法に違反し、国民の基本的人権を侵害していないのか、裁判所が「憲法の番人」となることが違憲審査制として規定されています。互いの権利がぶつかり合うなかで、裁判官や研究者がどのような解決策を導き出しているのかについて共に学んでいきたいと思っています。
高校生へのメッセージ
大学は私たち教職員と学生によって作られる学びの共同体です。皆さんが生きる未来は、国民国家という枠組みを超え、世界規模の問題―環境問題や平和問題―を様々な価値観を持つ人々が共に解決していかなければなりません。そのためには、現代社会に蔓延る様々な問題がどうして存在しているのか、どのような解決方法があるのかを多角的に思考する力を身につける必要があります。科学は何も理系だけのものではなく、文系を選択する皆さんも科学を探究する一人なのです。人文社会科学部の一員として科学者の第一歩を踏み出しませんか。